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日本の太陽光発電 グリッドパリティ(既存電力と同等化)ほぼ達成。 「環境金融」の進展も貢献 シティグループ調査(FGW)

2014-08-23 13:28:35

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solarPK2014012802100134_size0シティグループの「Energy 2020」レポートによると、世界中での太陽光発電の効率性の向上とコスト低下の進捗により、ドイツや米国の一部などでは既存電力とのコストが等価になるグリッドパリティが達成されているほか、日本でもほぼ達成領域に入っているという。

太陽光発電などの再生可能エネルギー発電見通しについて、国際エネルギー機関(IEA)は今後、2035年までに世界全体で662GW、投資額にして1兆3000億㌦と推計している。シティは、「IEAの推計は保守的過ぎる」としているが、この見通しに基づくと、世界中での新設の発電設備の11.2%は太陽光発電で占めることになる。

 

太陽光発電のグリッドパリティは世界的に実現段階に入っている。すでに、ドイツ、スペイン、ポルトガル、オーストラリア、米国南西部等でグリッドパリティが実現しているという。グリッドパリティ達成に貢献しているのは、発電効率性の上昇と、世界的な低金利による設備資金調達の容易さ、さらに開発後の事業上場手法の改革といったコスト低下要因だ。

 

特に環境金融の視点では、太陽光発電事業をプロジェクト単位で株式市場に上場する仕組み(イールドコ)の普及で、資金回収が極めて順調になっている。また低金利の影響で、複数の事業をまとめて証券化するABSなどのコストも低下するとともに、市場の流動性が高まり、機関投資家等の投資意欲にもつながっているという。

 

日本は固定価格買取制度(FIT)導入後に、急速に発電効率が上昇、内外の事業参入者による競争もあって、事業者によってはすでにグリッドパリティを達成しているか、あるいは2016年までには市場全体で達成する見通しだ。続いて韓国が2016年~2020年に、英国でも2018年~2021 年に達成可能という。

 

世界的な市場の拡大見通しも強い。現在、太陽発電市場が急拡大しているのは、日本、中国、米国の各市場。これまで世界市場を先導してきた欧州連合(EU)市場は、FITなどの制度見直しや景気動向等の影響で、相対的に成長は低下気味だが、世界的には、日米中の3市場の旺盛な需要に加え、今後は、インドや中東での急速な市場拡大が見込まれるとしている。

 

シティのレポートは、日本の今後の市場拡大を展望すると、太陽光発電による電力の電力網への接続問題、利用可能な土地不足、電力価格の上昇などの課題があると指摘している。太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギー発電の経済性向上のメリットを、経済全体に行き渡らせるには、既存概念にとらわれない弾力的なエネルギー・電力政策が必要となる。この点で、わが国の政策スタンスは、いわば政策の”ポリシィ・パリティ”の実現から、ほど遠い状況にあるといえる。

 

参考記事 http://www.greenchipstocks.com/articles/citgroup-nysec-is-super-bullish-on-solar/2256