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経産省が固定価格買取制度(FIT)の接続問題で新ルール公表。再エネ事業者の「接続停止リスク」恒常化(FGW)

2015-01-23 17:35:03

企業はメガソーラー事業に一気に慎重に
メガソーラー事業に新たなリスク
メガソーラー事業に新たなリスク


経済産業省は22日、再生可能エネルギーの太陽光発電を電力会社の系統電力網に接続する新ルールを公表した。電力会社側の出力制御(売電停止)措置を従来の日数単位から時間単位に切り替えるなどが柱。26日以降の接続申し込みに適用する。

太陽光発電については、2012年に開始した固定価格買取制度(FIT)に基づいて経済産業省が事業者に発電認可を与えてきたが、系統電力網への接続のキャパシティーを十分に考慮しなかったことから、昨年、九州、東北、四国電力などが、買取の受け入れ電力量が多すぎると系統電力全体が不安定になるとして、接続留保(事実上の接続拒否)の態度をとってきた。

 

実際に、系統電力網が不安定になるレベルには至っていなかったが、経産省の認可事業がすべて稼動すると、現状のままでは系統電力網が不安定化する可能性が指摘されていた。FIT制度を政策として展開するには、本来は、電力網側に、蓄電設備を増強するなどの措置が欠かせないが、そうした対応も後手に回った。

 

今回のルール改定は、接続容量拡大・蓄電設備増強などは見送り、出力制御の条件の変更にとどまった。電力会社側が強制的に太陽光発電からの買取を停止する出力制御の期間を「日数単位」から「時間単位」とするほか、出力制御の対象を小規模設備(500kW未満)にも拡大する。

 

10kW未満(主に住宅用)の接続についても、出力制御の必要が生じた場合に機器の設置を条件とする。ただし、今年の3月末までに申し込めば出力制御の対象から除外する措置を加える。買い取り可能量に余裕のある東京、中部、関西電力の管内は50キロワット未満の設備も対象から外した。買い取り可能量を超えた場合は、大手電力が事業者に補償金を支払うことなく、いつでも停止を求められる。

 

風力は20kW以上が出力制御の対象で、それ以下は対象外。地熱や水力発電などは、日照の変化や気象条件の変化には基本的に左右されずに安定的に発電が可能なベースロード電源との位置づけで、出力制御の対象とはしない。バイオマス発電には新たな出力制御ルールを適用して接続する。

 

新ルールの制定を受けて、これまで再エネ電力の買い取り手続きを一時止めていた九州、東北、四国電力など大手5社は26日以降、買い取り手続きを再開する方針。

 

今回の改定で、再エネ事業には、出力制御のリスクが恒常的に発生するほか、出力制御を受けた際、その間の売電収入も補償金も得られないことから、採算悪化のリスクも抱えることになる。経産省は大手電力が不当に発電の停止を求めることがないよう監視体制をとるとしているが、再エネ事業への投資資金の流れにも影響が生じそうだ。

 

http://www.meti.go.jp/press/2014/01/20150122002/20150122002-3.pdf