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長野・松本市 下水処理と燃料電池を組み合わせてバイオガス発電開始 FIT価格より高く売電(FGW)

2015-02-10 21:13:31

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長野県松本市は、このほど市内の下水道処理センターに、燃料電池を利用したバイオガス発電設備を稼動させた。発電した電力は、国の固定価格買取制度(FIT)の買い取り価格よりも高い価格で20年間にわたって新電力会社のエネットに販売する。

 

下水処理を利用したバイオガス発電設備は、このほど完成した同市内の両島浄化センターに設けられた発電設備。水環境企業のメタウォーター(東京)が2013年に、市から設計・調達・建設(EPC)を受注していたもので、このほど稼動した。yh20150212metawater_fc_590px.jpg
完成した消化ガス発電設備 出典:メタウォーター

 

下水道処理後には汚泥が残る。通常の処理では、細菌の働きで汚泥を分解するが、その際に、メタンと二酸化炭素を主成分とする消化ガスが発生する。松本市の同センターの場合、このガスが年間約110万m3も発生する。細菌の働きを高めるために、汚泥を分解する汚泥消化槽を一定の温度に保つ必要がある。同センターではこれまで、発生した消化ガスの3~4割を加温に用いていたものの、残りは焼却処分していた。

 

導入した発電設備は、燃料電池を利用して消化ガスから水素を取り出し、空気中の酸素と科学的に反応させることで発電する仕組みだ。「消化ガス発電」は、他の再生可能エネルギー発電に比べていくつも利点がある。発電効率が高く、メンテナンスが容易、科学反応による発電だから、騒音・振動もなく、排ガスもない。

 

年間発電量は約168万kWh(一般家庭の約490世帯の年間電力使用料に相当)を見込んでいる。2014年度のバイオガス発電電力の買取価格は39円(税別)、区分はメタン発酵ガス(バイオマス由来)。これを1年上回った40円で新電力に販売したとすると、年間売電額は6720万円となる。

 

松本市は同発電設備の建設に事業費4億4000万円を投じたが、6年ほどで事業費を回収市、その後は10数年にわたって、毎年6700万円の収入が市にもたらされることになる。

 





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燃料電池が動作する仕組み