HOME |山口県防府市 国のアセス規制対象外のバイオマス・石炭混焼小規模火力発電所計画 山口県が条例アセスで懸念表明(RIEF) |

山口県防府市 国のアセス規制対象外のバイオマス・石炭混焼小規模火力発電所計画 山口県が条例アセスで懸念表明(RIEF)

2015-08-06 18:04:31

boufuキャプチャ

山口県は同県防府市で中国電力などが計画中のバイオマス・石炭混焼発電所の建設計画に対して、住居や学校が近くにあることを指摘、環境影響の面で懸念を表明した。

 

 計画されているバイオマス・石炭混焼火力発電所は、中国電力とエア・ウォーター社が出資して設立した「エア・ウォーター&エネルギア・パワー社」が事業主体で、防腐氏鐘紡町に出力11.2万KWの設備を建設するもの。来年12月に着工し、2018年に稼動予定。

 

 発電所の環境アセスメントは、国の規制では出力11万2500kW以上が対象で、同計画はギリギリで規制からはずれる条件としている。ただ県の環境影響評価条例は7万5000kW以上を対象としているため、今回、事業者の環境影響評価方法書に対して、山口県が知事意見を示した。

 

 知事意見では、①近隣に住居等が存在するなかに火力発電所を新設することで、ばい煙やCO2の排出、騒音発生等、周辺環境への影響が懸念される②事業による大気、騒音、水質等への影響についての適切な調査・予測・評価を行い、可能な限り環境影響を回避・低減すること③木質バイオマスの必要量を確保するとともに、県内の未利用森林資源を最大限利用ーーなどが概要。

 

 同計画はバイオマスとの混焼によってCO2排出量を削減する点だが、知事意見では「排出ガス中の有害物質やバイオマスに伴う悪臭についての環境影響評価の実施」を条件に加えている。また計画ではバイオマス燃料確保のため、未利用の干ばつ材や竹資源を県内から調達するほか、海外からの輸入も想定しているが、海外からの輸入は運搬中のCO2排出量を増大させる懸念もある。

 

 こうした意見を受けて、エア・ウォーターと中国電力は環境影響評価の第2段階にあたる「準備書」の中に対策を盛り込む必要がある。また第3段階の「評価書」を経て建設の認可を受けるまでには1年強かかる見通しだ。

 

 また環境省も、2014年11月に「小規模火力発電に係る環境保全対策ガイドライン」を公表し、発電能力が1万~11万2500kWの火力発電所に対しても、環境保全対策を求める方針を示しており、同発電所にゴーサインが出るのはかなり遅れそうだ。

 

http://www.pref.yamaguchi.lg.jp/press/201507/031689.html