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原発と地震 複合災害調査公表せず (東京新聞)

2011-10-12 11:26:59

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原発事故と地震などの自然災害が同時に起きる「複合災害」をめぐり、経済産業省原子力安全・保安院がコンサルタント会社に委託した調査報告書を二〇〇九年二月に受け取りながら、二年半以上公表していなかったことが分かった。本紙の指摘で十一日、ホームページ(HP)に掲載した。報告では、福島第一原発の事故同様に交通網の損壊や計測機器の故障で混乱が起きると予測し、対応の必要性に言及していたが、生かされなかった。

 

保安院は「報告書を基に作成したほぼ同内容の資料をHPに掲載しており、公表の必要性を感じなかった」と説明している。

 

報告書は本文と資料からなり、全部で九十七ページ。保安院が〇八年九月、複合災害に備えた原子力防災マニュアル作成を検討する経産相の諮問機関「総合資源エネルギー調査会」原子力防災小委員会の審議に役立てるため、コンサル会社に二千四十九万五千円で調査委託し、〇九年二月に提出された。

 同社は、〇七年の新潟県中越沖地震で火災が発生した東京電力柏崎刈羽原発を調査。浜岡原発を抱える静岡県や、東海第二原発のある茨城県、米原子力規制委員会(NRC)の関係者らから聞き取りをしたり、文献を調べたりもした。

 その結果、中越沖地震では柏崎刈羽原発の緊急時対策室のドアがゆがんで中に入れず、地元消防との連絡電話が使えなかったため通報が遅れたことや、停電により通信回線が使えず、情報収集が難しくなるなどの問題があったと指摘した。

 さらに、住民に避難指示を伝えたり、被ばく患者を搬送したりする手段が失われることもあると予測。こうした問題点を踏まえ、報告書では複合災害に備えた地方自治体向けマニュアルを作るための留意事項を示した。

 保安院は、この報告書を基に「原子力防災マニュアル等の作成上の留意事項」の素案を作成。〇九年四月、原子力防災小委に提出した。この素案はHPで公表されたが、報告書にあった地方自治体や海外の調査結果などは省かれ、大幅に簡略化されていた。

 小委は、素案を基に原発の立地自治体に複合災害への対策を求めようとしたが自治体側の反発が強く、結局、断念に追い込まれた。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011101290070341.html

保安院のサイト: http://www.nisa.meti.go.jp/index.html