HOME10.電力・エネルギー |世界の自然災害での損失額、昨年は過去最高(Reuters) |

世界の自然災害での損失額、昨年は過去最高(Reuters)

2012-01-06 15:30:02

東日本大震災の傷跡
【4日ロイター時事】世界最大の再保険会社、ミュンヘン再保険は4日、日本の大震災やニュージーランドの大地震など昨年の世界の自然災害による経済的損失が過去最高の3800億ドル(29兆1000億円)に上ったと発表した。これは前年の倍以上、過去10年間の平均の3倍。この災害に伴う保険金支払額も1050億ドルと、過去最高を記録した。

東日本大震災の傷跡




 日本の大震災の保険金は推定350億~400億ドルで、昨年の米国全体の自然災害向け保険金支払額と同水準に達した。ニュージーランド地震の保険金は130億ドル。

 昨年の経済的損失額は、ハリケーン「カトリーナ」が米メキシコ湾岸地域に大打撃を与えた2005年に比べて3分の2多い。額は多かったが、世界の死者数は2万7000人にとどまり、前年の29万6000人から急減した。このうち大震災によるものが1万5840人、ブラジルの土砂災害・洪水が1348人、フィリピンでの台風21号(アジア名=ワシ)被害が1257人、タイの土砂災害・洪水が813人、トルコの地震が604人だった。

 米国では171件の災害で350億ドルの損失がもたらされた。うち260億ドル近くがサンダーストーム(雷を伴う暴風雨)による被害で、これまでの最大額を100億ドル以上も上回る最高を記録した。

 サンダーストームには竜巻も含まれ、4、5月の一連の竜巻は米気象災害史のトップ10に入る。米国保険情報協会(III)によると、この春の一連の竜巻を一つのものと見ると、米国の災害(人災も含む)史で上から4番目の損失をもたらしたことになるという。これよりも被害額が大きかったのは、ハリケーンのカトリーナとアンドリュー、それに01年9月11日の同時多発テロだ。

 死亡者が比較的少ない割に保険金が多かったことについてミュンヘン再保険は、昨年の二つの最悪の災害が起きた場所での保険カバー率が高かったことによると説明している。同社のエルンスト・ラウホ氏は「災害の金額的影響を見る上では災害そのものだけではなく、それがどこで起きたのか、保険カバー率がどうだったのかなどを考慮する必要がある」と指摘した。

 昨年の世界全体の自然災害発生件数は820件で、過去10年の平均とほぼ同じだったが、過去30年の平均(630件)に比べると大きく増加した。

http://jp.reuters.com/article/jpnewEnv/idJPjiji2012010500203