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SPEEDIの平成23年度データ追加公表を歓迎する、グリーンピースの声明――原発事故のリスクコミュニケーションに必要な試算を急ぐべき(Greenpeace)

2012-01-30 20:39:15

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原発で事故がおこった際に放射性物質がどのように拡散するかを予測するシステムSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)の2011年度(平成23年度)実施分(現時点までに終了しているもの)について、文部科学省は本日1月30日夜、追加公開しました。国際環境NGOグリーンピースはこれを歓迎すると同時に、福島第一原発と同規模の大事故を想定した試算も行い、その結果を公開することが必要だと考えます。

2010年度(平成22年度)の試算結果については、グリーンピースの情報公開請求を契機に(注1)、昨年11月以降公開されていますが(注2)、本日グリーンピースは文部科学省より、2011年度に試算されたマップにおいても、同じサイト内の「仮想計算図形」に公表する準備が整ったとの情報を得ました。今回発表されるマップは、昨年12月にグリーンピースが佐賀県に情報開示請求で入手した玄海原発のシミュレーションマップを含んでいます(注3)。福島第一原発で起きたような大事故を想定したものではありませんが、1時間で有明海に放射能が達すること等がわかり、これらをもとに、もし風向きが福岡県など隣接の自治体に向かっていたらどうなるか、といった推定の手がかりになるものです。国はこうした情報を逐次発表していくことが望まれます。

今後は福島第一原発の事故を受けて、防災計画をたてるべき地域が10㎞(緊急時計画区域)から30㎞(緊急防護措置計画地域)に拡大されますが、該当する府県や自治体さえ、大事故が起こった場合に具体的にどれくらいの放射性物質の拡散を受ける恐れがあるのか、ほとんど情報がありません。グリーンピース・ジャパンのエネルギー担当関根彩子は、「政府と電力会社が大飯原発や伊方原発をはじめとして各地で原発の再稼働を進めている今日、原発周辺の自治体、とくにこれから安全協定を結ぶ自治体にとっては、大事故を想定したリスク情報が不可欠であり、今後の迅速な公表が急がれます。事前に大事故を予測した試算を行い、その結果を地域の防災に活用することこそ、今後のSPEEDI運用の意義であるといえます。」と語っています。

今後の再稼働の是非を判断したり、有効な防災計画を策定したりするためには、開かれたリスクコミュニケーションが欠かせません。そのためには、各原発において過酷事故を想定したSPEEDI試算を行い市民に公表することが不可欠であり、これを抜きに一方的に原発再稼働へ舵を切ることは許されることではありません。

注1) 2011年11月30日「SPEEDI」をリスクコミュニケーションに使う
注2) 文部科学省「環境防災Nネット」(仮想計算図形から関係道府県を選択)

2012年1月30日午後8時現在のところ、下記道府県のデータが公開されています:北海道、宮城県、神奈川県、福井県、大阪府、岡山県、鳥取県、佐賀県、鹿児島県。

注3) 2011年12月22日玄海原発事故SPEEDI、1時間で有明海・佐賀市・福岡市汚染の可能性

 

http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/press/pr20120130/