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福島原発民間事故調査委:国の責任感欠如と東電の怠慢が主因(Bloomberg)

2012-02-28 17:29:36

2月28日(ブルームバーグ):東京電力福島第一原子力発電所の民間事故調査委員会、福島原発事故独立検証委員会(委員長・北沢宏一科学技術振興機構前理事長)は28日、独自に事故を検証した報告書を公表した。その中で事故を拡大させた主因として「国の責任感の欠如と東電の過酷事故に対する備えを怠った組織的怠慢」を挙げた。事故当時の菅直人首相、枝野幸男官房長官ら政府首脳にもヒアリングを行い、官邸や東電の混乱ぶりがあらためて浮き彫りにされた。

  北沢委員長は記者会見で「放射能源が過密に配置されていた」ことが事故を深刻なものにしたとし、特に使用済み核燃料プールの配置の問題点を指摘した。

  報告書の中で、事故発生直後、東電の清水正孝社長から現場の作業員600人を福島第一原発から第二原発に撤退させたいと政府に再三申し入れがあったことが明らかにされた。これに対し、菅首相が3月15日未明に東電本店に乗り込み、「命を賭けろ。撤退はあり得ない。そんなことをすれば東電は間違いなくつぶれる」と演説したことも盛り込まれた。

  北沢委員長は「結果的に吉田所長ら福島フィフティー(50人)が残留し注水などの作業を継続し、事故は収拾に向かった。それが首相の最大の功績だったかもしれない」としながらも、首相官邸の現場への過剰な介入は「評価できない」と述べた。その背景には経済産業省原子力安全・保安院、原子力安全委員会から情報が伝わらず、「疑心暗鬼」に陥ったとの見方を示した。

  報告書は、外国からの助言に聞く耳を持たない原子力安全規制のガラパゴス化、大地震や大津波が過去にあったことを知りながら適切な備えの指示を怠ったことなど、国の責任を「極めて重い」と断じた。

  同委員会は約300人にヒアリング調査を実施し、東電にも経営者のインタビューを要請したが、拒否された。報告書は拘束力を持たないが、野田佳彦首相に提出する。

記事についての記者への問い合わせ先: 淡路毅 tawaji@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:Yoshito Okubo yokubo1@bloomberg.net

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M03CEF6K50YC01.html