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また一つ東電のミス発覚: 東電原発事故現場担当者ら 水位計の誤作動認識 福島第1事故(河北新報)

2012-03-22 16:04:00

東京電力福島第1原発事故で1号機がメルトダウン(炉心溶融)に至る際、事故対処に当たっていた担当者らが、原子炉の水位計が誤作動を起こし表示が信用できないと認識していたことが18日、関係者への取材で分かった。担当者らは水位計を信用せず、早い段階からメルトダウンを予測したが、運転実務を十分理解していない東電本店、政府は水位計の数値にこだわり、炉心状態の判断を誤ったまま指示を出し続けた。

 水位計は、圧力容器下部の水圧と空間部分の気圧との差を、基準面器と呼ばれる水槽型の設備で計測する。電源喪失による原子炉の過熱や減圧で、基準面器の水が蒸発するなど水位計が正常に機能しなくなることは「現場の常識」(東電技術者)で、作業手順書にも明記されているという。
 関係者によると、福島第1原発の緊急対策本部は昨年3月11日午後5時15分の時点で、全電源を喪失し原子炉水位が低下した1号機は午後6時15分に燃料頂部が露出すると予測。その内容を東電本店などに伝えた。
 燃料露出から2時間後の午後8時すぎには、メルトダウンが始まることも予想されていた。
 水位計はいったん電源が失われて数値を表示しなくなったため、対策本部はバスなどのバッテリーを集め、水位計などの計器類を作動させた。
 再び動き出した水位計は11日午後9時20分ごろ、燃料頂部の200ミリ上、午後10時ごろには500ミリ上を示した。その後の経緯を考えると、水位計は既に誤作動を起こしていたとみられる。
 現場がこの数値を伝えると、東電本店や政府は「原子炉には水がある」「水位計の数値だけを伝えろ」と指示した。
 政府、東電は水位計の数値上は著しい水位低下がなかったことから、実際は作動していなかった非常用復水器によって注水・冷却が行われていると誤認。その後も、メルトダウンが進んでいることを認めようとしなかったという。
 技術者らは「既に水位計が機能していないのは現場レベルでは周知のことだったが、本店や政府から一方的に指示が来て従わざるを得なかった」と説明。「水位計の基本的な仕組みも知らず、故障の可能性にも思い至らない人たちが指示を出していた」と話した。

http://www.kahoku.co.jp/news/2012/03/20120319t61014.htm