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岩手県内、沿岸地価は二極化の傾向 浸水域は下落拡大(岩手日報)

2012-03-23 19:35:21

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県が22日発表した2012年1月1日時点の県内の公示地価は、前年比で住宅地が11年連続、商業地は19年連続下落した。住宅地、商業地とも下落幅は縮小したが、東日本大震災で被災した沿岸は住宅地の平均変動率がマイナス4・5%、商業地はマイナス8・5%で、下落幅はそれぞれ0・2ポイントと0・3ポイント拡大。移転需要で釜石市や陸前高田市などの一部浸水域外で下落幅が縮小したが、宮古市の浸水域で下落幅が拡大するなど被災地は二極化の傾向が見られた。

 県内で最も下落率が大きかった住宅地は、津波被害を受けた「宮古市磯鶏沖5の15」で、マイナス10・2%(同マイナス5・7%)。一方、同市内でも津波の被害がなかった「同市西ケ丘3の3の18」はマイナス2・8%にとどまり、下落幅は2・2ポイント縮小した。

 そのほか沿岸の住宅地は移転需要の高まりが顕著な釜石市でマイナス0・8%(前年マイナス4・8%)、陸前高田市はマイナス3・0%(同マイナス5・1%)と下落幅が縮小したが、大船渡市はマイナス4・3%と下落幅は2・6ポイント拡大した。

 商業地では、津波被害を受けていない「岩泉町下宿40番」が沿岸で最も下落率が大きくマイナス10・9%となった。地域経済の低迷とともに、風評被害で観光客などが減少。地価下落の拡大傾向が続いている。

 地価公示代表幹事の清水幹夫不動産鑑定士は「被災地は浸水地域と浸水を免れた地域で下落幅に差が出ている。浸水被害がなかった地域の地価は改善傾向にあるが、どこまで需要が続くか動向を注視する必要がある」と指摘する。

 地価公示 土地取引の指標となる標準地の価格を示すことによる適正な地価形成が目的。国土交通省土地鑑定委員会が毎年1月1日時点で調査を行う。県内は25市町村の住宅地や商業地など標準地186地点が対象。沿岸9市町村の標準地は33地点。震災の影響で前年の34地点のうち継続調査できたのは22地点。大槌町の全3地点と大船渡市、釜石市、山田町の各2地点、陸前高田市3地点の計12点は選定替え。うち陸前高田市の1地点は同市内に適切な地点を選定できず、一関市千厩町に替えた。

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