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九州電力、長崎で100万kW級の石炭火力発電所を新規稼働。COP25での「日本批判」にもかかわらず。管内の原発のテロ対策遅れのカバーを理由に(RIEF)

2019-12-17 12:33:25

kyuden22キャプチャ

 

 不調に終わった国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)でも、日本の石炭火力発電推進策への批判が高かったが、九州電力は新たに石炭火力発電所を新設、20日から営業を開始する。長崎県松浦市の松浦発電所2号機。CO2排出量は同規模のガス火力より約2倍排出する。仏学者のジャック・アタリ氏は石炭火力を「犯罪に等しい」と批判している。

 

 九電が稼働する松浦発電所は発電量100万kW。出力を調整して、最低15万kWまで下げられる。再生可能エネルギー発電の変動調整にも活用できるとしちる。

 

 同火力は2001年に着工した。しかし、電力需要の伸びが想定を下回ったため、2004年に一度工事を中断していた。その後、11年の東日本大震災と東電福島第一原発事故の影響で各地の原発停止措置を受けて、燃料コストが安い新電源として計画の復活させる方針に再転換、2016年から工事を再開していた。

 

着工以来、16年9カ月ぶりに稼働する九電松浦発電所2号機の発電設備
着工以来、16年9カ月ぶりに稼働する九電松浦発電所2号機の発電設備

 

 今回稼働する2号機は、1号機に比べて燃焼効率が高い「超々臨界圧発電(USC)」方式を採用している。熱効率は1号機より3ポイント高い46%を実現できるため、消費する石炭の量も約5%減らせるという。しかし、それでもCO2排出量は年間470万㌧増えることになり、同規模の天然ガス火力に比べ倍増する。

 

 九電では、川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の代替電力としての期待を込めている。川内原発は国が定めた対テロ対策工事が遅れ、1号機は2020年3月から、2号機は同5月から長期間停止を余儀なくされる。両機の停止期間は8~9カ月間で、その間、合計178万kWの発電能力を持つ設備を使えないことから、約100億kWhの電力不足が生じる見通し。

 

 九電では、こうした環境を乗り切るため、松浦火力の稼働を重視している。池辺和弘社長は10月、都内で会見し、「2020年度は大変厳しい環境にあるのは間違いないが、ガスの代わりに石炭を燃やして乗り切っていきたい」と語っている。アタリ氏が指摘する個人主義の「Me First」(九電第一)の典型例のようだ。http://rief-jp.org/ct4/97208

 

http://www.kyuden.co.jp/press_h190531c-1.html