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<原発ゼロ>いら立ち募らす経済界 「1年たっても政府は無策」(毎日新聞)

2012-05-05 17:24:42

国内の原発50基のうち、唯一稼働している北海道電力泊原発3号機(北海道泊村)が5日深夜に発電を停止し、日本は42年ぶりに「原発ゼロ」の状態に入る。計画停電や電力使用制限令への懸念が増す中、企業や家庭では節電の動きも広がる。迫り来る「原発のない夏」に、日本はどう向き合うのか展望する。【高橋慶浩、宮島寛、大久保陽一、和田憲二】


【この人も発言】橋下市長:「原発ゼロ無策は国家危機

3月27日に東京都内の日仏会館ホールで開かれた講演会。日産自動車のカルロス・ゴーン社長は約130人の聴衆を前に「原発を再稼働させなければ経済は立ちゆかなくなる。その点を日本政府はよく考えるべきだ」と訴えかけた。

経済界で「原発ゼロ」に伴う電力不足への危機感が高まっている。世界的な建機メーカー、コマツの坂根正弘会長は4月、日本原子力産業協会の年次大会で「いつまでもこんなエネルギー問題を抱えている日本で製品を作っていてはリスクが大きすぎる」と発言。4月23日に開かれた政府の電力の需給検証委員会では、金属大手、住友電気工業の松友俊雄・省エネルギー推進室長が「昨年は国難ということで協力したが、今年は震災から1年以上経過している。具体的な(節電要請などの)計画がないのはどういうことか」と政府への不満をぶつけた。

自動車業界では、従業員の生活にしわ寄せがいく「(昨年のような)輪番はとても無理」(大手自動車幹部)との見方が増えている。昨年は、平日のピーク電力使用量を下げるため休日に出勤する体制をとったが、「3カ月間、家族との時間が削られた。震災直後だから我慢したが、今年は勘弁してほしい」(トヨタ自動車社員)との声も多い。日本自動車工業会の志賀俊之会長(日産自動車最高執行責任者)は4月の記者会見で「従業員や家族の生活にも多大な負担をかけた。(政府は休日シフトを)期待せずに安定供給できるよう対応をとってほしい」と求めた。

大飯原発の再稼働が不透明で「猛暑なら計画停電」とも伝えられる関西電力管内ではさらに事態は深刻だ。各企業は「自衛策」で乗り切ろうと知恵を絞るが限界も見えている。

三菱自動車の益子修社長は4月26日の決算発表の記者会見で、京都工場で休止中の自家発電装置を稼働させる方針を明らかにした。改修などに2億6000万円の費用がかかるが「電力供給不安を深刻にとらえている。生産維持のためにはやむを得ない」とため息をついた。

毎日新聞が4月、主要118社に行ったアンケートでは、無回答の3社を除く115社が今夏、「自家発電の導入・増強」など何らかの節電対応を計画していると回答。うち33社が節電対応は企業業績にとって「総合的にマイナス」としている。

震災から1年以上が過ぎても、有効な対策を打ち出せない政府。その無策ぶりに、企業経営者はいら立ちを募らせている。

 

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120504-00000003-maiall-bus_all