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東電 福島第一原発の汚染水浄化装置ALPSの増設検討 稼働率低く 費用無視の物量対応へ切り替え(各紙)

2014-02-19 21:52:58

高額装置だが稼働率は低いALPS
高額装置だが稼働率は低いALPS
高額装置だが稼働率は低いALPS


各紙の19日の報道によると、東京電力は福島第一原発で発生する放射能汚染水の浄化のために導入している東芝製の浄化装置「ALPS(アルプス)」を増設する方針という。ALPSが想定通りの稼働率を維持できないことから、設置数を増やして対応するもの。1系統150億円前後の高額装置を投じながら、十分に機能しない装置をさらに買い増しする東電の姿勢は、旧来のコスト無視の経営姿勢を反映しているといえる。

 

ALPSはトリチウム以外の放射性核種を除去できるという触れ込みで東芝が開発、現在、3系統分を納入している。しかし、これまで再三にわたる故障や不調のため、稼働率は75%前後にとどまっている。東電の工程表では、2015年3月末までに、タンクに保管している放射能汚染水約34万トンを処理する予定だが、このままのALPSの稼働状況では達成が難しくなっている。

 

本来は、汚染水そのものの発生抑制対策をしっかりとる必要があるが、東電は、いまだに損傷した原子炉の状況もはっきりと把握できておらず、地下水処理も、当初から指摘を受けながら、なんら抜本的な対策を打てないでいる。ALPSの処理能力は現在、1日最大750トン。2014年度後半には処理量2000トンを見込んでいた。

ところが、稼働率の低さから、予定通りの処理を行うには、今年10月以降の稼働率を98%にしないと、来年3月末までの処理完了のスケジュールを達成できないことがわかった。そこで、稼働率は低いが、ALPSをさらに増設して、物量対応で処理達成を目指すことになりそうという。

その分、新たに1系統当たり150億円の出費が必要になるが、東電は総括原価方式によって総費用が増えてもその上に利益を上乗せできる体制を事故後も維持している。このため、費用意識が薄い経営体制となっている。