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デンマークとドイツを結ぶ世界最長の沈埋式海底トンネル、2021年1月着工へ。デンマーク議会が承認。総投資額70億ユーロ(約8300億円)新型コロナウイルスからの景気回復策に(RIEF)

2020-05-04 23:08:27

Denmark11キャプチャ

 

 デンマーク議会は、長年の懸案だった首都コペンハーゲンのあるロラン島と、ドイツを結ぶフェーマルンベルトトンネルの建設を2021年1月に開始することを承認した。同トンネルはバルト海にあるフェーマルン海峡に約18kmの沈埋(ちんまい)トンネルを建設するもの。沈埋トンネルとしては世界最長となる。建設着工は新型コロナウイルス感染の広がりで延期されていた。トンネルの完成は2029年半ばの予定。

 

 (写真は、フェーマルンベルトトンネルの完成予想図)

 

 フェーマルンベルトトンネルはロラン島のレズビュハウン(Rødbyhavn)とド イツ(フェーマルン島)のプットガルデン(Puttgarden)を結ぶ17.6kmの沈埋トンネル。完成すると、4車線の高速道路と複線の鉄道からなる世界最長の道鉄併用海底トンネルとなる。

 

デンマークとドイツを直結するトンネル
デンマークとドイツを直結するフェーマルンベルトトンネル

 

 沈埋トンネルは、予め改定や川底などに溝を掘っておき、そこにケーソン(沈埋函)を沈めて土をかぶせるで作られたトンネルをいう。開削トンネルやシールドトンネルに比べ、浅い位置にトンネルを作ることができ、その分、トンネルへの勾配も少なくなるので、建設費が高額になるトンネル部分の長さを短くできるメリットがあるとされる。

 

 フェーマルン海峡を結ぶ計画は1990年代初めから構想があった。これまで、架橋案、トンネル案などが並列して検討されてきたが、2011年2月にトンネル案が正式に決定された。デンマークのコペンハーゲンとドイツのハンブルク間は、トンネルができると、現行のユトランド半島を経由する在来ルートに比べて、約160kmを短縮でき、鉄道での旅行時間も現行の4.5時間から2時間へと約2.5時間を短縮できる。

 

沈埋方式で使われるケーソン
沈埋方式で使われるケーソン(沈埋函)

 

 現在、同海峡間の移動はフェリーによって約1時間かかっているが、トンネルになると、自動車でも鉄道でも、約7分10秒で通過できるという。

 

 ただ、建設ルートのドイツ側は、渡り鳥のルートとなっていることから、ドイツの環境団体等が建設による影響に懸念を示してきた。このため、環境影響評価等の手続きがまだ完了しておらず、ドイツ側の工事の開始は2022年半ばまで決まらない見通しという。このため、デンマーク側の建設工事日程が決まったが、現時点での完成予想日程は2029年半ばと想定されている。

 

  デンマーク側の工事着工も、新型コロナウイルス感染の広がりで、延期されていた。デンマーク運輸相のBenny Engelbrecht氏は「議会の歴史的な決断によって、 デンマークから欧州への新しいゲートウェイに道が拓かれた」と評価している。

 

https://www.trm.dk/nyheder/2020/anlaegsarbejdet-paa-tunnelen-under-femern-baelt-saettes-i-gang/