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ラオス、メコン川でのダム建設を延期 流域国に配慮(AFP)

2012-05-20 05:23:29

【5月15日 AFP】ラオス政府は10日、同国北部で計画されていたメコン川でのサイニャブリ(Xayaburi)ダム建設工事を延期すると発表した。
同ダムの建設をめぐっては、環境への影響を懸念するメコン川流域諸国から計画の中止を求める声がでていたが、エネルギー・鉱業省電力局のビラポン・ビラウォン(Viraphonh Viravong)局長は、AFPの電話取材に対し、「メコン川の(ダム)工事は行っていない」と語った。

サイニャブリダムについては、隣国タイの建設大手チョーカンチャン(CH Karnchang)が4月、ラオスに建設した子会社サイニャブリ・パワー(Xayaburi Power)と24億ドル(約1900億円)規模の水力発電プロジェクトの契約を結んだと発表。メコン川下流の国々からは影響を不安視する声があがっていたが、チョーカンチャンは、すでに3月15日に工事に着工したことを明らかにし、完成まで8年かかる見込みだと付け加えた。

一方、ビラポン局長は、工事はまだ準備段階だと語っている。
メコン川流域国のカンボジア、タイ、ラオス、ベトナムから成るメコン川委員会(Mekong River CommissionMRC)は前年12月、ダム建設による影響の調査結果が判明するまで工事には着手しないことで合意していた。

これについて、ビラポン局長は、すでにダム建設で予想される影響を調査した報告書を近隣国に提出しており、現在は関係国からの了承を待っている状況だと説明。「報告書によって近隣国の理解が得られ、ダム建設を進められるものと確信している」と語った。

世界の貧困国の1つであるラオスは、水力発電に国の活路を見出そうとしている。「東南アジアの電力源」として、先進近隣諸国に電力を輸出していく計画だ。

だが、カンボジアとベトナムは出力126万キロワット(KW)規模のサイニャブリダムによる農業や漁業への影響を危惧している。

これに対し、タイはダム建設に積極的で、水力発電所の完成後には電力の大部分を買い取ることでラオスと合意している。
しかし、環境活動家らは、メコン川本流で水の流れがさえぎられれば富栄養化が進み藻の発生を招くほか、産卵のために上流に移動する魚たちが遡上できなくなると警告している。

http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2878090/8945751