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フラッキングによる地震の公算小さいが、使用済水の注入は地震頻度を増す=米学術研究会議(Reuters)

2012-06-18 17:46:36

シェールガス採掘現場でのガスフレア(2012年1月9日、米ペンシルベニア州ブラッドフォード郡)
【ワシントン15日ロイター時事】全米アカデミーの米学術研究会議(NRC)はこのほど発表した報告の中で、頁岩層ガス(シェールガス)採取のためのフラッキング(水圧破砕)法によって地震が誘発される公算は小さいが、使用済みの水を注入井戸を通じて地下に廃棄することで地震活動のリスクは増えるとの研究結果を明らかにした。

シェールガス採掘現場でのガスフレア(2012年1月9日、米ペンシルベニア州ブラッドフォード郡)




 地熱採取および二酸化炭素回収・貯留(CCS)に関連した地震のリスクについても調査したこの報告は、地下に戻される水と取り出される水の総バランスがエネルギー開発に関連した地震が起きる上での最大の要因だと指摘した。

 その上で、「これらのエネルギー技術に関連して起こされた地震事象によって米国で人の生命が失われたり、大きな被害がもたらされたことはないが、一部の影響は地域住民に感じられており、新たな地震活動への不安を引き起こしている」としている。

 フラッキングは地下の頁岩層に薬剤などを混入した大量の水を高圧で送り込んでガスや原油を採取する方法。この方法が開発されて米国の原油やガスの生産は劇的に拡大したが、同時にこのやり方では地下水や大気が汚染されたり、地震を誘発する恐れがあるとの批判が出ている。

 NRC報告は、フラッキングが地震事象の高リスクをもたらすことはないとし、これまでフラッキングとの関連が公式に認められているのは英ブラックプールでのマグニチュード2.3の地震だけだと指摘した。

 シェールガス生産を支援するエネルギー業界のキャンペーン「エナジー・イン・デプス」を進めているスティーブ・エバリー氏は「事実に関心を持つわれわれ全てが既に知っている、フラッキングが地震を起こすと信じるべき論理的理由はないということが改めて確認されたことは喜ばしい」と話した。

 報告は、エネルギー生産に関連したリスクをより性格に数量化するためにもっと研究をする必要があり、地震事象を防いだり弱めたりするための方策を見つけるべきだとしている。

 

http://jp.reuters.com/article/jpnewEnv/idJPjiji2012061800371