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30年エネルギー政策で3選択肢=政府会議(Reuters)

2012-07-02 06:45:04

[東京 29日 ロイター] 政府は29日夕、野田佳彦首相と関係閣僚が出席する「エネルギー・環境会議」(議長・古川元久国家戦略相)を開催し、2030年時点のエネルギー政策で3つの選択肢を決定した。

焦点の原子力発電比率(10年時点26%)はゼロ、15%、20─25%の3通りを示す一方、核燃料サイクル政策は使用済み核燃料の再処理と地中に埋める直接処分の両論併記とした。

3つの選択肢は、総合資源エネルギー調査会(経済産業省の諮問機関)、内閣府原子力委員会、中央環境審議会(環境相の諮問機関)での議論を基に絞り込んだ。7月から国民を交えた議論を各地で行い、8月をめどに政府がエネルギー政策を決定する

いずれのケースでも、省エネルギーを進めて発電電力量を現状から1割削減し、再生可能エネルギーの比率を大幅に引き上げるほか、ガソリンなどを含む最終エネルギー消費を2割程度削減させる。これにより、発電の際に二酸化炭素(Co2)を発生しない原発の比率が現状から低下しても、1990年比の温室効果ガスの排出量を原発比率ゼロの場合で16%減、同15%の場合23%減、同20─25%の場合25%減と見込む。

原発ゼロの場合の温室効果ガス排出量削減は、20年時点で90年比25%削減という国際公約を大きく下回るので、省エネ性能が劣る製品の販売禁止などの追加対策を行い、30年時点で温室効果ガスの削減率を23%に引き上げる。

これまで日本は、原発から出たすべての使用済み核燃料からプルトニウムを取り出して原発で再利用する「全量再処理」の政策を掲げ、電力業界が青森県六ケ所村に再処理工場の建設を進めてきた。しかし、現政権が目指す「脱原発依存」からさらに踏み込んで30年時点で原発比率をゼロとした場合、プルトニウムを取り出す必要性がなくなるため、使用済み燃料を中間貯蔵した上で将来は地中に埋める全量直接処分する政策に移行する。

一方、原発比率15%と20─25%の選択肢では、「再処理」と「直接処分」の両方針を併記した。古川国家戦略相は同会議後の記者会見で、原発ゼロ以外を選択する場合、全量再処理か全量直接処分か、再処理と直接処分を併用するのかどうかについて、「最終的にエネルギー・ミックスが決まったらそこに応じて、(核燃サイクル政策も)決定する」と述べた。