HOME11.CSR |米国務省。世界の人身売買に関する年次報告書公表。グローバルにネット利用のブラック雇用・人身売買増に警告。ロシアのウクライナ侵攻での人権侵害も。日本の取り組みは「二流」分類(RIEF) |

米国務省。世界の人身売買に関する年次報告書公表。グローバルにネット利用のブラック雇用・人身売買増に警告。ロシアのウクライナ侵攻での人権侵害も。日本の取り組みは「二流」分類(RIEF)

2023-06-16 14:40:16

Trafficking001キャプチャ

 

  米国務省は15日、世界の人身売買や児童・強制労働等に関する年次報告書を公表した。報告書は、グローバルベースで、インターネット等を通じたブラック雇用や、人身売買等が広がっていると警告した。政府自身が人身売買等に関わっている国として、ウクライナ侵攻のロシアのほか、北朝鮮等11カ国をリストアップした。同問題の解決に取り組む政府の姿勢の違いで、各国を3分類し、日本政府は昨年同様、中間の「第2 Tier」に分類された。東アジア・太平洋地区では、オーストラリア、シンガポール等が「第1Tier」扱いで、日本政府は「二流の取り組み」との評価だ。

 

 今年の報告書では、ネットを通じた雇用募集等の増加が、新たな人身売買、強制労働の入り口になっている点を指摘している。新型コロナ感染拡大の長期的な影響もあり、途上国等においてもソーシャルメディアによる人と人のデジタルな連携が増大したことで、弱者や限界的な地位に置かれている人々等が、セーフガードなしに、ネットを通じて、容易に犯罪者のターゲットになるケースが世界的に増えていると警告している。

 

 オンラインでの出会い系プラットフォームも人身売買業者によって悪用されるケースが増えている。これらの業者は同プラットフォームで取り込んだ女性等を、強制労働や性的搾取に追い込むほか、それらの人々を新たな人身売買のリクルーターに活用するなどのブラック雇用の拡大策を展開していると指摘。各国政府に対して、ネット上で、彼らの標的になり得る弱者や女性等を保護するため、ネット規制の検討を求めている。

 

 軍事紛争や経済的混乱等の広がりで、グローバルに増大する移民・難民層も、特にこうした強制労働等の標的になっている。移民労働者・難民等に対して、雇用する側はパスポートを難民たちの取り上げて、逃げられないようにして強制労働を強いているとし、その事例の一つに、日本でのブータンの技術研修生に対する取り扱いをあげている。マレーシアやオマーンでのジンバブエからの若者に対する強制労働と同列で問題視している。

 

 また国名は指摘していないが、18歳以下の未成年者に対する強制労働や、性的搾取の問題も、人身売買と同列だとして警鐘を発している。日本では芸能プロダクションのジャニーズ事務所での未成年者に対する性的搾取問題がクローズアップされているが、米国の報告書は「18歳以下の若者に対する商業的性的搾取は、強制であろうと、詐欺であろうとにかかわらず、犯罪だ、と指摘している。日本の警察当局も捜査しているのだろうか。

 

  報告書は各国政府の人身売買への取り組みの熱心さで、各国を3分類している。最上位の第1Tier国には、米、英、独、仏など30カ国をランクした。欧米諸国が多いが、アジア・太平洋からは、オーストラリア、シンガポール、台湾、フィリピン、セーシェルの各国が入っている。フィリピン等は海外での出稼ぎ労働者が、強制労働や性的虐待等の被害を受け易いことから、政府が、労働者の人権を守るため、積極的に政策対応をしていることを評価されている。しかし、日本はそれより「格下」の第2 Tier国で、インド、韓国、タイ等と同じレベル。

 

 第3 Tier国は、中国、ロシア、北朝鮮、アフガニスタン、シリア等の24カ国。第2と第3の間に、第2ウォッチリスト国として、ベトナム、エジプト、マレーシア等の26カ国をランクしている。

https://www.state.gov/reports/2023-trafficking-in-persons-report/

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