HOME12.その他 |超電導送電、実用化へ一歩 電力不足に効果、NTT系など計画 (各紙) |

超電導送電、実用化へ一歩 電力不足に効果、NTT系など計画 (各紙)

2012-07-24 06:41:32

超伝導の一つであるマイスナー効果で宙に浮くピン
超伝導の一つであるマイスナー効果で宙に浮くピン


各紙の報道によると、電気の流れを妨げる抵抗がゼロになる超電導技術を活用し、作った電気を無駄なく送れるケーブルの実用化計画が相次いでいる。NTTファシリティーズは宮城県で整備するメガソーラー(大規模太陽光発電所)と組み合わせる。中部大学と鉄道総合技術研究所もそれぞれ送電の実験を始める計画だ。実現すれば、電力不足対策の柱の一つになる可能性がある。


 超電導を使う送電は省エネ効果が大きい。現在の送電線は途中で電気の約1割が熱になって失われる。超電導ケーブルはセ氏零下196度の液体窒素で冷やすと電気抵抗がゼロになる。これを直流という状態で送ると、長距離になるほど効率がよくなる。1000キロメートル送っても損失が0.5%まで抑えられるという。




 NTTファシリティーズは宮城県亘理町に新方式の送電ケーブルを敷設する計画。東日本大震災で津波被害を受けた沿岸部に出力6万~10万キロワットのメガソーラーを建設。作った電力を最長2キロメートルの超電導ケーブルで送る。メガソーラーは今年度中にも着工。国の補助金を得られた段階で超電導ケーブルも整備する。




 中部大学の山口作太郎教授らは8~9月に超電導ケーブルの実験をする。長さ200メートルの超電導ケーブルを使用。ケーブルは銅酸化物という物質を電線に用い、保温性の高い鋼管で覆った。




 目標は変電所まで送られてきた電気を超電導ケーブルでデータセンターに供給することだ。置き換えられれば、送電ロスが減るとともに熱の発生も抑えられ、データセンターの消費電力が最大40%減ると試算している。




 鉄道総合技術研究所は年内に、新方式を活用して電車を走らせる実験を始める。首都圏を走る電車に供給する1.5キロボルト、10キロアンペアの容量で、変電所から研究所内の小規模な環状線路に超電導ケーブルで電気を送る。




 超電導の直流送電は再生可能エネルギーと組み合わせやすい。スマートグリッド(次世代送電網)の整備と合わせ一気に普及が進む可能性もある。