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石川県、初のグリーンボンド50億円を来年2月メドに発行。資金使途先には、特別天然記念物トキの生息環境の保全もリストアップ。「朱鷺色ボンド」だね(RIEF)

2023-10-21 00:39:01

toki002キャプチャ

写真は、エサを求めて水田周辺に舞い降りたトキ=佐渡島。「にいがた観光ナビ」より)

 

 石川県は、来年2月頃をめどに、同県として初となるグリーンボンドを発行すると発表した。発行額は50億円の見込みで、資金使途には、県内の公共施設等の省エネ化や、災害対策事業等に加え、特別天然記念物のトキの生息環境の保全も対象としている。環境省は2026年以降、同県でのトキの放鳥を目指しており、県ではトキの住み易い環境づくりを進めるため、調達した資金で、トキの餌場となる水田や圃場の整備等を進める考えだ。

 

 同県では、江戸時代初期にトキが地域に生息していたとの記録がある。トキは日本全国にいたが、明治に入って、乱獲や生息環境の悪化が進み、急速に減少。生息地は石川県の能登半島と、新潟県の佐渡島に限られた。しかし、石川県のトキは1970年に絶滅、佐渡のトキも2003年に絶滅した。

 

 その後、中国から贈られたトキのペアによる人口繁殖で増えたトキは佐渡で放鳥されて繁殖が進んでいる。このため、環境省はトキを自然状態での安定的な生息を進めるため、2021年7月に「トキ野生復帰ロードマップ 2025」を作成、トキの放鳥候補地を拡大するとし、石川県能登半島と島根県出雲市が放鳥候補地となっている。

 

 石川県では、能登の9市町、関係団体で「能登地域トキ放鳥受入推進協議会」を設立し、早ければ2026年度にもトキの放鳥を実現することを目指している。今回のグリーンボンド発行によるトキの生息環境整備のための資金調達も、県としてトキの生息環境の保全とともに、トキと人間が共生できる社会環境の整備をボンドの投資家にアピールする意義もありそうだ。

 

 グリーンボンドの資金使途先は、こうしたトキ対策のほか、高波や高潮、土砂崩れなどの災害対策、里山里海の環境整備等にも充当する予定としている。ボンドの販売は1000万円単位で、機関投資家や企業向けに販売する。主幹事は、みずほ証券、野村證券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の3金融機関。ボンドのグリーン性については日本格付研究所(JCR)がセカンドオピニオンを付与した。

https://www.pref.ishikawa.lg.jp/zaisei/data/koubosai/greenbondhakkou.html

/https://www.pref.ishikawa.lg.jp/zaisei/data/koubosai/documents/greenbondframework.pdf