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消費者の視点で海の資源を考える「さかなガイド」(WWF)

2012-08-04 10:47:05

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WWFの魚ガイド


世界の海で枯渇が心配される、魚や貝などの水産資源。その消費を支える水産物の生産量は、50年前と比較し4倍に増加しています。WWFはこうしたシーフードの現状を、一般の消費者に知ってもらい、資源と海の環境問題を共に考えていただくための「さかなガイド」を制作しました。ガイドでは、天然・養殖の魚種ごとに、資源状況や漁獲方法が環境に与える影響を評価。消費者がシーフードを選ぶ際の参考になる情報をまとめています。

「海の恵み」に危機がせまる





2010年に漁獲された天然および養殖の魚介類の量は、およそ1億7,000万トン。1960年ごろの量と比べ、4倍以上に増加しました。

『世界漁業・養殖業水産白書』の2010年版によれば、人類が世界の海で漁獲し、消費しているさまざまな魚種のうち32%が「獲りすぎ」の状態に、さらに53%が過剰な利用を規制するなどの措置が必要とされる状態にあります。

これは、現在は当たり前に一般の家庭の食卓で消費されているさまざまな魚、エビ、貝などが、すでに、あるいは今後、深刻な資源の枯渇にさらされている可能性を警告するものです。

過剰な利用と環境の悪化


こうした問題の背景にあるのは、単なる「魚の獲りすぎ」だけではありません。漁獲の方法や、養殖のあり方、沿岸の自然破壊も、資源状況に大きな影響を及ぼします。

漁法については、同じ魚でも、用いる網やその方法によって、成熟していない魚まで獲ってしまったり、海の自然環境を壊したり、取る必要のない他の生物をも獲ってしまう「混獲」の問題を引き起こすケースがあります。

養殖についても、薬物や過剰な餌の投与が海を汚染したり、逃げ出した魚などが外来生物として、周辺の生態系に悪影響を及ぼすケースがあります。

また、マングローブや干潟、サンゴ礁といった沿岸の自然環境は、多くの海の生きものをはぐくむ、「命のゆりかご」として、大切な役割を果たしていますが、こうした自然の破壊問題も、海の生産性や資源状況を悪化させる要因になっています。

消費者の視点から考える海の問題


海の資源をめぐる問題は、日常的にシーフードを消費して成り立っている日々の生活や、長くはぐくまれてきた文化にも、影響を及ぼす問題です。

この問題を一般の消費者と考え、またアクションを促すために、WWFは「さかなガイド」を制作しました。

ガイドでは、寿司ダネになる魚介類を中心に、養殖・天然あわせて20種について検証。
どの魚介類が、どのような資源状況にあるのか。また漁獲方法や養殖方法が環境に悪影響を及ぼしていないか、などを総合的に評価し、緑から赤のゲージでそれぞれの状況を示しました。

資源状況の良くないものを避けていただくとともに、情報の無いものについては、お店や企業に対して情報の開示を求めることで、環境に配慮したシーフードの「トレーサビリティー(流通経路の追跡)」の確立を促すことを目的としています。

なお、WWFはこのガイドを世界の海外でも発表しており、それぞれの地域や国で消費されているシーフードについての検証結果を、消費者に提示しています。

今回、日本でも行ったガイドの発表を通じて、一般の方々が自らの消費するシーフードに対し関心を持ち、行動してもらうきっかけにしていただきたいと考えています。

「さかなガイド」はこちら



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「寿司ガイド」はスマートフォン、携帯でもご覧いただけます

http://www.wwf.or.jp/activities/2012/08/1078403.html