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中国の水問題で官僚主義が悪化の一因=米科学者(Reuters)

2012-08-10 23:19:14

汚染された運河でくず拾いをする人たち(2012年3月16日、中国北京)
汚染された運河でくず拾いをする人たち(2012年3月16日、中国北京)


【ワシントン9日ロイター時事】米国の科学者らは中国の水供給問題について、同国のトップダウン方式の官僚主義は横のつながりを無視し、一部の西側企業を妨害しており、問題を深刻化させているとし、他の諸国にとっては教訓になるとの調査結果をまとめ、科学誌サイエンスに発表した。

 報告は、さまざまな省庁は自分たちのチームとは連絡を取り合うが、関係する他の機関とのコミュニケーションをおろそかにするため、持続性のある水に関する問題への対処がより困難になっていると指摘した。

 その上で、安全できれいな水を十分に供給するという中国の問題は相当大きく、水が「新しい石油」と言われる今世紀に他の先進国や開発途上国にとって参考になる可能性があるとしている。

 報告の共同執筆者の1人であるミシガン州立大学のジャングオ・リュー氏は「水、エネルギー、土地、食料、その他が複雑に結び付いた中国の問題は他の諸国にとっても同様であるため、中国のありようは大きな教訓になる」とし、中国の官僚主義は同国の水問題に関わる課題を大きくしていると述べた。

 報告によれば、中国の669の都市の3分の2は水不足に見舞われており、国内の河川の40%強は汚染の度合いがひどく、湖沼の80%は富栄養化(しばしば農地からの肥料流入によって発生する過度の栄養状態)となっている。さらに、農村部の約3億人の住民は安全な水を得られないでいるという。

 報告は、水の保全と管理を10年間のうちに進めるとの昨年の中国の約束を高く評価しながらも、それぞれの省庁が他と連絡を取り合って協力しない限り、これだけでは不十分だとしている。

 

http://jp.reuters.com/article/jpnewEnv/idJPjiji2012081000459