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シェールガス革命、素材に波及 低コストで樹脂原料。 旭化成、17年メド量産  (各紙)

2012-08-24 15:12:28

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各紙の報道によると、新型天然ガス「シェールガス」を使って化学品素材を低コストで生産する動きが広がってきた。旭化成は石油の代わりに天然ガスから合成繊維や樹脂の原料を量産する技術を開発、新型ガスの利用を視野に2017年にも量産に入る。衣料、家電用などで世界の化学品需要は増えており、原油より安い新資源の活用の巧拙が企業の国際競争の鍵を握りそうだ。

シェールガスは岩盤層に含まれる天然ガス。米国を中心に開発が急速に進み、供給増により米国では在来型を含む天然ガス価格が1年前のほぼ半分に下落。天然ガス価格は原油価格より大幅に安くなっており、従来の石油由来の原料を使う製法から切り替えれば大幅なコスト削減を見込める。


 旭化成は合繊や、家電・自動車部材に使う樹脂の中間原料「アクリロニトリル」の原料を天然ガスからつくる技術にめどをつけた。一般には石油からつくるが、新開発の鉱物系触媒を使い天然ガスからつくることに成功した。品質は石油由来品と遜色ないという。




 量産設備は新型ガスの資源量が多い北米や、天然ガスが豊富な東南アジアなどで設置を検討する。年産能力は数十万トンを想定する。




 欧米勢はシェールガスを使って基礎化学品のエチレンを生産する動きで先行している。旭化成は家電部材などに使う汎用樹脂原料の分野で、新技術で天然ガスから原料を安くつくりコスト競争で優位に立つ考え。同社はアクリロニトリル生産で世界2位。世界人口の増加に応じて需要が今後年3%程度のペースで伸びる見通しだ。




 米国では米化学大手ダウ・ケミカルや国際石油資本(メジャー)の英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルなどが大規模なエチレン工場の建設方針を打ち出しているほか、南アフリカのエネルギー大手サソールや台湾石化最大手の台湾塑膠工業(台湾プラスチック)も工場の新設や増強に動いている。




 日本勢でもクラレが液晶パネル部材や紙の添加剤に使う樹脂を生産する工場を14年に米国に建設し、新型ガス由来のエチレンを活用する方針だ。




 シェールガスは北米のほか中国、南米などにも存在し、技術的に回収が可能な資源量は世界で6622兆立方フィートとの予測もある。安価で豊富な新型ガスを使った事業拡大で化学メーカー間の競争が今後激しくなるとみられ、効率的な利用技術の開発などが世界の化学業界の勢力図を変える可能性がある。