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ごみ焼却炉排ガスからエタノール ナカテックが装置開発(各紙)

2012-09-11 09:47:20

各紙の報道によると、プラント設計のナカテック(福井県坂井市、中山浩行社長)はごみの焼却炉から出る排ガスから、樹脂や溶剤の原料となるエタノールを合成する装置を開発した。北海道大などと共同開発した、水素と二酸化炭素から航空機燃料を合成する技術を応用した。今後は合成効率の向上に取り組むほか、県内企業や大学と様々な合成装置を共同できる研究開発拠点の開設も目指す。


 開発した装置は幅約5.5メートル、高さ約3.5メートル。FT(フィッシャー・トロプシュ)合成と呼ばれる反応を起こす、長さ約1メートルの特殊な触媒が取り付けられており、一酸化炭素と水素からエタノールを合成する。1本の水素ボンベから約200ミリリットルのエタノールが得られる。




 一酸化炭素と水素は焼却炉の排ガスから取り出せる。水素は福井県内に多数ある原子力発電所の余剰電力を使い、水を電気分解してまかなうことも可能で、「これまで生かし切れていなかった資源の有効活用につながる」(中山社長)。




 今月から、プラントを大手化学品メーカーの関東の研究所に移設。ナカテックの社員も現地に常駐して実験を進め、触媒を改良する。エタノールを合成する効率を現在の2~3倍程度に高められれば「規模の拡大と実用化が視野に入ってくる」といい、今後数年間で目標を達成したい考えだ。




 今回のプラントは、ナカテックが2010年から北大と岩谷産業、関西電力とともに取り組んできた、航空機燃料のFT合成技術を応用したもの。燃料合成用の装置は規模が小さいため、現時点で得られる燃料は少ないが、燃焼エネルギーはすでにガソリン並みに達している。これに目を付けた化学品メーカーがエタノール合成装置の開発を持ちかけた。




 福井県内には繊維や住宅内装材のメーカーなど、エタノールから生成される樹脂を原料などに使う企業が多い。ナカテックは福井経済同友会(福井市)のエネルギー研究部会の部会長でもある中山社長を通じて、FT合成で得られる幅広い素材や燃料の共同研究を県内企業や大学に持ちかけ、「地元での技術蓄積」を目指す。すでに取得済みの本社近くの土地に、1500平方メートル前後の研究棟を建てる計画も練っている。




 ナカテックは染色機械のメーカーとして1958年に創業。化学品用のプラント製作のほか、産業機械の保守点検や非破壊検査、金属製品の加工などを手がける。11年9月期の売上高はグループ全体で約20億円。