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フィリピンのバイオエタノール事業に伴う土地収奪問題で、国際NGO調査団が問題指摘(FOE Japan)

2011-06-10 12:54:55

国際NGO現地調査団による農民らへの聞き取りの様子(2011/5/31 FoE Japan撮影)
(FOEJApanのサイトから):5月30日から6月3日にかけ、アメリカ、カナダ、パラグアイ、日本のNGOが参加する国際NGO現地調査団が、フィリピン・イサベラ州サン・マリアノ町に派遣されました。

国際NGO現地調査団による農民らへの聞き取りの様子(2011/5/31 FoE Japan撮影)


同地で日本企業が進めるバイオエタノール事業によって、土地権問題の悪化や住民の生活悪化などが懸念されているため、「食料主権に関する人民連合(PCFS)」を中心とするフィリピンのNGOが国際社会に調査を呼びかけたものです。FoE Japanも同調査団の一員として参加してきました。

国際NGO現地調査団は、イサベラ州サン・マリアノ町のアリバダバド村、デル・ピラー村、パニナン村、リベルタッド村などを訪問し、住民の農地や生活、また、労働環境などに関する聞き取りを実施。6月6日に、声明と調査結果の概要を発表しました。

国際NGO現地調査団の声明(和訳)はこちらからご覧になれます
国際NGO現地調査 声明[PDF]

国際NGO現地調査団の調査結果概要(英文)はこちらからご覧になれます
国際NGO現地調査 調査結果概要[PDF]

声明・調査結果の主な内容:
・ バイオエタノール事業の進出以前から、同地域で不当な土地権取得(土地収奪)が行われ、農民や先住民族が被害を受けてきたこと。

・ 同事業の進出により、土地投機のインセンティブが高まり、そうした以前からの土地収奪の問題がより複雑化・顕在化してきていること。また、農民や先住民族が更なる被害を受けかねないこと。

・ 法定最低賃金が守られていないなど、サトウキビ・プランテーションの農業労働者の労働条件・環境に問題があること。

・ 米、トウモロコシ、野菜等、多種多様な食用栽培農地がサトウキビの単一栽培に転換されることにより、地域社会の食料生産が減退する可能性があること。また、それに伴い、住民の森林部での開墾を誘発する恐れがあること。

・ 同事業への反対運動に対し、軍等による人権侵害があること。

また、同調査団は、上記の調査結果に基づき、フィリピン政府関係者に対し、

・ 不当な土地権取得に関する調査の実施と問題の解決
・ バイオエタノール事業への支持撤回
・ 軍等による人権侵害の即時停止

などの対応を求めています。
より詳細な調査結果については、最終報告書としてまとめられ、後日、発表されることになっています。