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アスベストによる中皮腫治療へ研究会設立 一線の研究者が協力(毎日) 震災によるビル倒壊で潜在被害者増加

2013-01-14 07:47:06

建物倒壊が相次いだ阪神淡路大震災(生田新道 東急ハンズ三宮店東側)で
建物倒壊が相次いだ阪神淡路大震災(生田新道 東急ハンズ三宮店東側)で


アスベスト(石綿)による難治性のがん「中皮腫」を発症する人が建設労働者などに増えている問題で、がんや生命倫理など一線の研究者が協力して中皮腫の治療薬開発などを進める「国際環境発がん制御研究会」が15日、設立される。同様に患者が増えているアジアにも研究成果を伝える。

中皮腫は、生活環境が原因となるがんの代表格で、早期発見が難しく進行も速い。厚生労働省によると、中皮腫による死亡は年々増えており、2011年は1258人が死亡した。60万人超の建設労働者で組織する全国建設労働組合総連合の宮本一・労働対策部長は「多くの建設労働者が対策をとらないままアスベストにさらされてきた。早期の診断や治療薬開発は切実な問題」と訴える。

同研究会は、05年に国内初の「アスベスト・中皮腫外来」を開設した順天堂大の樋野興夫(ひの・おきお)教授(病理学)が代表となり、早期発見の技術確立や治療薬の開発に取り組む。中皮腫の診断・治療に関しては専門家が少ないため、がんのほか生命倫理、化学物質の研究者らにも協力を呼び掛ける。

アスベストによる中皮腫はアジアでも問題になっており、今後、アジアの研究者や医療関係者を対象に、シンポジウムや研修会も開く計画だ。

建設現場からは「治療法確立が第一。日本全体で総合的な研究体制を整備してほしい」(三宅一也・東京土建一般労組常任中央執行委員)などの声が届いているといい、樋野さんは「アスベストを使った建物がある限り、アスベスト問題は終わらない。本格的な診断・治療技術の開発を急ぎ、アジア各国の対策にも役立てたい」と話す。【永山悦子】

http://mainichi.jp/select/news/20130113k0000e040086000c.html