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中国大気汚染で 汚染物質が越境流入した西日本 「ぜん息物質濃度が急上昇」(各紙)

2013-01-31 17:35:18

大気汚染予測システムによる31日午前0時時点のシミュレーション。近畿地方の濃度が高く示されている=国立環境研究所のホームページから
大気汚染予測システムによる31日午前0時時点のシミュレーション。近畿地方の濃度が高く示されている=国立環境研究所のホームページから
大気汚染予測システムによる31日午前0時時点のシミュレーション。近畿地方の濃度が高く示されている=国立環境研究所のホームページから


各紙の報道によると、中国で激化する大気汚染が「越境汚染」している西日本で、30〜31日にかけて中国産の大気汚染物質「硫酸塩エアロゾル」の濃度が急上昇したとみられることが、わかった。国立環境研究所の分析で分かった。特に近畿地方で観測されており、地上の実測速報値も、環境基準を超す地点があったという。

 今回検出された硫酸塩エアロゾルは、石炭などの燃焼で発生する。濃度が高くなると、人間のぜん息などの呼吸器疾患を起こす恐れもある。

 国環研のシミュレーションによると、中国からの汚染物質は、28日午後以降、九州地方に流入し、30日夜から31日早朝には、大阪府や奈良県などの近畿地方で、微小粒子状物質「PM2.5」が、環境基準(1立方メートル当たり1日平均値35マイクログラム以下)を超すレベルになった。

 30日午後6時の地上観測点の実測速報値でも、阪神地区などでは軒並み基準値を超え、シミュレーション結果をほぼ裏付けた。ただ、基準は1日平均値を基に判断するため、今回の場合は、基準を超えたとはみなされないという。

 中国では北京や上海などの大都市で、石炭など化石燃料の大量消費が原因の大気汚染がクローズアップされている。国環研は、これまでも、中国を含む東アジア地域で大気汚染物質の濃度を推定する作業を続けている。主に、風向や風速などの気象データを加えて移動状況をシミュレーションしている。ただ今回、西日本で明らかになった汚染の全てが、中国由来というわけではなく、国内の暖房使用や自動車の排ガスなども影響しているとみられる。

 国環研は「濃度上昇の予測結果は、大陸の大気汚染物質が流れ込んだためと解釈できるが、国内の濃度は中国の汚染レベルに比べると格段に低く、健康な大人が気にするレベルではない」と説明している