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最高裁 熊本の水俣病未認定女性の訴えに対し 県の非認定判断を棄却 患者として認定 初判断(各紙) 

2013-04-16 16:01:09

最高裁に入る原告の溝口秋生さん(最前列左)ら=16日午後
最高裁に入る原告の溝口秋生さん(最前列左)ら=16日午後
最高裁に入る原告の溝口秋生さん(最前列左)ら=16日午後


最高裁第3小法廷(寺田逸郎裁判長)は16日、水俣病の認定申請を棄却された熊本県水俣市と大阪府豊中市の女性2人の遺族が熊本県に患者認定を求めた2件の訴訟の上告審で、水俣市の女性について水俣病と認めた2審・福岡高裁判決を支持し、県側の上告を棄却する判決を言い渡した。遺族側の勝訴が確定した。県が認めなかったケースで最高裁が患者認定するのは初めて。

 

今回の最高裁判決は、行政によって認定を否定された水俣病患者に対して、司法救済の道を広げるとともに、行政の認定体制の見直しを迫る形になる。豊中市の女性については、同日午後4時に判決が言い渡される。

 訴えていたのは、1977年に77歳で死亡した水俣市の溝口チエさんの次男と、3月に87歳で死亡した豊中市の女性(訴訟は長女が承継)。公害健康被害補償法に基づき国が77年に定めた認定基準は、手足のしびれや視野狭さくなど複数症状の組み合わせを要件とした。熊本県は、2人とも基準を満たさないとして申請を棄却していた。両訴訟ではこの国の基準の妥当性が争われた。

 福岡高裁は国の基準は不十分だとした上で、「メチル水銀の暴露歴や感覚障害の特徴など具体的事情を総合検討して判断すべきだ」と独自に検討し、原告の逆転勝訴とした。一方、大阪高裁は基準の意義は大きいとし、「医学に基づいた県の判断に不合理があるか否かの観点から判断すべきだ」と行政の裁量を広く認め、逆転敗訴としていた。