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元自民党の野中広務氏も批判する「主権回復の日」(ガジェット通信)

2013-04-27 22:51:44

okinawa無題
okinawa無題「主権回復の日」の開催が近づいてきた。政府主催の式典が行われる予定の4月28日は、1952年に日本と連合国との間で結ばれたサンフランシスコ講和条約が発効した日だ。だが、その日は沖縄抜きでの主権が回復した日であり、また現在まで続くアメリカ従属への道を歩き始めた日でもある。

そんな日を記念日にして祝う必要があるのか。筆者は本欄で、一貫して「主権回復の日」の設定と式典の開催について批判してきた。そんな中、自民党の元幹部からも批判の声が上がっていることを知った。2012年4月25日付の沖縄タイムスに掲載された野中広務氏のインタビューを見てみよう。

野中氏は、京都で町議や府議、副知事を務めた後、自民党の国会議員になった。国政では、自治大臣や官房長官、沖縄開発庁長官を、自民党では幹事長などを歴任し、一時は「影の総理」とも呼ばれたほど党内に影響力があった人物である。しかし、小泉内閣とそりが合わず、影響力は低下。2003年に政界を引退した。

自民党では珍しく、野中氏はハト派の論客でもあった。被差別部落の出身であることや、自らの戦争体験にもとづき、反差別と反戦を唱え続けたのだ。その野中氏は、インタビューの冒頭でこう語る。

「なぜ沖縄などが米軍政権下に置かれた『屈辱の日』に式典を開くのか。唯一の地上戦である沖縄戦や米軍基地で苦しむ県民の痛みを理解していない。憤りを感じる」。その上で、「怒るのは当然。68年間、基地で苦しんできた沖縄の人びとに砂を掛けるようなものだ」と沖縄県民の式典への反発に理解を示す。

そして、「憲法は、戦争の犠牲によって日本人が獲得した宝物」だと述べ、式典は「憲法改正への道を開く扉になる」と指摘。さらに、すんなりと改憲が議論されてしまうのは、「戦争の無残さを知らない政治家がほとんどで痛みを知らない」からであり、「政治の一番の役割は戦争を起こさないこと」と訴えている。

「『主権回復の日』式典 憤る野中氏」という記事のタイトルにある通り、野中氏は現政権の暴挙に憤っている。筆者は、式典開催を促す自民の議員がいてもいいとは思うが、それに反論を唱える野中氏のような議員が自民にいないことに、大きな不安を抱いている。(谷川 茂)

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