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火星往復で浴びる放射線、生涯限度超える恐れも NASA(CNN)

2013-05-31 21:32:02

キュリオシティが火星で探索を行う様子(想像図)=NASA提供
キュリオシティが火星で探索を行う様子(想像図)=NASA提供
キュリオシティが火星で探索を行う様子(想像図)=NASA提供


(CNN) 地球から火星まで往復した宇宙飛行士は、即座に引退しなければならなくなるほど大量の放射線を浴びることになる――。米航空宇宙局(NASA)がそんな研究結果を30日の米科学誌サイエンスに発表した。

研究チームは、放射線評価検出器と呼ばれる装置で測定したデータを使い、火星探査機「キュリオシティ」が浴びた宇宙放射線量を調べた。

その結果、火星までの往復で浴びる宇宙放射線量は554~770ミリシーベルトと推計。これは5日ごとにCTスキャン検査を受けるのに等しく、NASAの宇宙飛行士がキャリアを通じて認められている許容限度ギリギリか、場合によっては超えてしまうこともあるという。

平均的な米国人が自然界などで浴びる放射線量は年間6.2ミリシーベルト。「宇宙の放射線環境は地球の数百倍に上り、シールドで閉ざされた宇宙船の中にも届く」と研究チームを率いるケーリー・ザイトリン氏は解説する。

NASAの基準では、宇宙飛行士などが放射線を浴びた結果、がんにかかるリスクが3%以上増えることがあってはならないと定めている。平均的な米国人の場合、35歳男性で140~186日間、女性の場合は88~120日の宇宙滞在であれば、このリスク上昇率を3%未満に抑えることができるとされる。

キュリオシティが2012年の火星到達までにかかった日数は253日だった。しかも、今回推計しているのは火星まで往復する間に浴びる放射線量のみ。宇宙飛行士が火星に滞在すれば、さらに多くの放射線を浴びることになる。

NASAの専門家によると、被爆の原因となる放射線の大部分を占める銀河宇宙線は、完全に遮断しようとすれば厚さ数メートルもの隔壁が必要になり、重すぎて宇宙船には乗せられない。また、太陽フレアやコロナ質量放出といった太陽活動によって生じる太陽エネルギー粒子線も問題になる。

NASAは2030年代に人類を火星に送り込む計画で、それまでにエンジンを改良して火星到達までの日数短縮を目指す。また、銀河宇宙線や太陽エネルギー粒子線を遮断するための技術開発も進めている。

 

http://www.cnn.co.jp/fringe/35032807.html