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大阪で50年前に操業停止の工場の影響(?)で 地域住民らがアスベスト被害発症 一人死亡(各紙)

2013-09-05 20:37:20

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JICtop大阪市西成区の50年前に工場が撤退した跡地の周辺で、住民1人がアスベストが原因で起きる胸膜や腹膜のがん「中皮腫」で死亡し、さらに10人がアスベスト特有の「胸膜プラーク」などの肺の異常症状を発症していることがわかった。元の工場は「日本インシュレーション(旧・大阪パッキング製造所)」で、今後健康被害救済問題が焦点となる。

 

半世紀を経て発症した今回のアスベスト被害は、市民団体「関西労働者安全センターと中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」などが住民の苦情等を踏まえて調査した結果、明らかになった。当時、同地域一体では、断熱材の製造などでアスベスト(石綿)を扱っていた工場が、同社のほか複数あったという。

 同センターによると、西成区に住んでいた男性(76)が昨年8月、中皮腫で死亡した。また周辺の住民11人も、胸膜が厚くなる異状や肺がんが見つかっていた。住民11人は、最も長い人で1949~64年、西成区千本中2丁目の工場から300メートル以内に居住。多くが、石綿とは関係のない仕事をしていたが、一人は工場の事務職として働いていたという。

11人はいずれも、肺の外側が肥大化する「胸膜プラーク」を発症し、肺がんに罹った人もいた。胸膜プラークは病気ではないが石綿でしか発生しない。

死亡した男性は生前にアスベスト製造関連の仕事に従事した経験はなく、同センターを通じて、当時、操業していた「日本インシュレーション(旧・大阪パッキング製造所)」に申し入れ、住民の健康診断の実施等を話し合っていたという。同工場は戦前から西成内にあり、1960年まで操業し、64年に撤去している。同社が撤去以前に工場周辺に住んでいた人たちの健康診断をしたところ、半径300メートル以内に住んでいた10人にアスベスト特有の異常が見つかった。調査結果を踏まえ、同センターは国に詳しい調査を求めることにしている。

アスベストは自然の産物だが、吸引すると微細な繊毛が肺の中皮腫に突き刺さり、そこからがんを発症する可能性が高い。ただ、吸引から発症までに、20~30年かかるケースが多く、高齢化してから急に発症することから、「静かな時限爆弾」ともいわれる。