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『汚染地再生ファンドからの用地取得に関するマンション開発業者の意向調査』 及び『土壌汚染地への出店に関する小売業者等の意向調査』(住友信託銀行)

2011-08-16 12:34:29

この度、住友信託銀行株式会社は株式会社住信基礎研究所に委託し、「汚染地再生ファンドからの用地取得に関するマンション開発業者の意向調査」及び「土壌汚染地への出店に関する小売業者等の意向調査」を実施いたしました。この調査は、平成22年11月24日に公表した「土壌汚染対策を実施した土地に建つマンションに対するエンドユーザーの意識調査」の続編となります。 ここでは、調査結果の一部をお知らせいたします。

1.調査内容 2010年4月より改正土壌汚染対策法が施行され、汚染土壌を原位置から動かさずに封じ込め等の適切な対策を実施した健康被害のおそれのない土壌汚染地で、形質の変更をしようとするときに届出をしなければならない区域を「形質変更時要届出区域」(以下、「要届出区域」という。)として都道府県が新たに指定することとなりました。

これまで、土壌汚染対策は法の規定や土地取引の慣行上、汚染土壌を除去する掘削除去による完全浄化が主流を占めていたため、土地利用ニーズはあっても対策費が高額となり有効利用が進みにくい状況にありました。今般の法改正により、相対的にコストが安い汚染土壌の封じ込め等の適切な対策と管理によって、土地利用転換が円滑に進むことが期待されています。

 今回は、マンション開発業者、小売事業者それぞれにアンケート調査を実施しました。

マンション開発業者の方々へのアンケートでは、汚染地再生ファンドが工場跡地等の人為的由来による土壌汚染地を取得し、舗装・盛土などの封じ込め措置を行った土地に対する、マンション開発業者の開発意欲や開発目的などを調査しました。

 また、小売業者及び飲食業者(以下、「小売業者等」という。)の方々へのアンケートでは、舗装・盛土などの経済合理的な対策を行った土壌汚染地への出店意欲や出店形態、及び出店条件などを調査しました。

2.調査概要
『汚染地再生ファンドからの用地取得に関するマンション開発業者の意向調査』
・ 調査対象:三大都市圏で一定規模以上のマンション開発事業を行う84社
・ 調査方法:郵送による調査票の配付及び回収
・ 調査期間:平成23年1月11日(火)~平成23年1月21日(金)
・ 回収率:31.0% (回答26社 / 発送84社)
『土壌汚染地への出店に関する小売業者等の意向調査』
・ 調査対象:三大都市圏に営業拠点があり、売上高が一定規模以上の小売業者等284社
・ 調査方法:郵送による調査票の配付及び回収
・ 調査期間:平成23年2月21日(月)~平成23年3月4日(金)
・ 回収率:11.3% (回答32社 / 発送284社)

3.調査結果

 『汚染地再生ファンドからの用地取得に関するマンション開発業者の意向調査』

 (1)汚染地再生ファンドからの用地取得の検討意思

 立地条件が優れた希少性が高い開発用地であるが、汚染地再生ファンドが舗装や盛土などにより汚染土壌を封じ込めた土地の購入を「検討する」とした回答割合は38.5%、購入を「検討しない」とした回答割合は53.8%でした。

(2)用地の開発目的
汚染地再生ファンドから取得した用地の開発目的について、「分譲・賃貸両方」と回答した企業は60%、「分譲のみ」と回答した企業は40%であり、「賃貸のみ」と回答した企業はありませんでした。

『土壌汚染地への出店に関する小売業者等の意向調査』

(1)封じ込め措置を前提とした土壌汚染地への出店検討意思

 立地条件が優れ、希少性が高いものの、舗装や盛土などにより汚染土壌を封じ込めた土壌汚染地への出店意思を質問しました。その結果、出店を「検討する」とした回答割合は71.9%(※)、出店を「検討しない」とした回答割合は21.9%でした。

(2)封じ込め措置を前提とした土壌汚染地への出店検討意思(出店実績がある企業)

 上記設問に対し、土壌汚染地への出店実績がある企業を対象として再集計しました。その結果、出店を「検討する」とした回答割合は87.5%となりました。

(3)業種・業態・取扱品目の制約の可能性

汚染土壌が封じ込められていることが業種・業態・取扱品目を制約する可能性を質問しました。その結果、「制約する可能性がある」とした回答割合は13.0%、「制約する可能性はない」とした回答割合は87.0%でした。

4.まとめ

以上のように、土壌汚染地開発時の土壌汚染対策の選択肢として、舗装や盛土などの封じ込め措置等の経済合理的な対策を検討するマンション開発業者が現れ始めていることが分かりました。また、舗装や盛土による封じ込め等を行った土壌汚染地であっても、立地条件が優れていれば出店を検討する小売業者等が少なくないことが分かりました。

今回の調査で把握された一定の需要を背景に、かつてコスト面で開発を断念し、遊休地化していた土地の利用価値が見直され、経済合理的な土壌汚染対策によって土地の有効活用に繋がることが期待されます。

【ご参考】
『土壌汚染対策を実施した土地に建つマンションに対するエンドユーザーの意識調査』結果について
(平成22年11月24日公表)
http://www.sumitomotrust.co.jp/pdf/101124.pdf

http://www.sumitomotrust.co.jp/pdf/110722.pdf