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小田原・魚大量死1週間 シアン化合物検出 発生源の特定難航か (神奈川新聞)

2014-02-17 00:31:11

シアン化合物が一時検出された流域下水道左岸処理場の放流口付近=小田原市西酒匂の鬼柳排水路
シアン化合物が一時検出された流域下水道左岸処理場の放流口付近=小田原市西酒匂の鬼柳排水路
シアン化合物が一時検出された流域下水道左岸処理場の放流口付近=小田原市西酒匂の鬼柳排水路


小田原市西酒匂の鬼柳排水路で稚魚の大量死が確認されてから1週間が経過した。神奈川県が管理する酒匂川流域下水道左岸処理場の放流水から毒性の高いシアン化合物が検出され、同物質による水質汚染が一時的に起きたことが主な原因と判明した。

すでに汚染経路の調査も始まっているが、同処理場には小田原市のほか秦野や大井など1市4町からの排水も集まっているため、発生源の特定には時間がかかりそうだ。

 

稚魚の大量死は7日午前、市民が同排水路にボラやコイなどが沈んでいるのを見つけた。通報を受けた小田原市が約200匹を回収、県と合同で調査に着手した。

 

当初、市の簡易水質調査では異常は確認されなかった。しかし、県の精密水質調査で同日夜までに、シアン化合物が1リットル当たり0・1ミリグラム検出された。環境基準では不検出とされる有害物質の汚染が分かり、市民や関係者らの緊張感が高まった。

 

大雪に見舞われた8日も現場調査が続行されたが、心配した死んだ魚の増加は確認されず、シアン化合物も不検出だった。
■情報共有に遅れ

今回、市と県の連携に課題を残した。約600メートル上流の酒匂川流域下水道左岸処理場の放流水から7日の段階で、同0・35ミリグラムのシアン化合物が検出されていたと、県流域下水道整備事務所が発表したのは3日後の10日だった。

 

検出値は水質汚濁防止法が定める排水基準(1ミリグラム以内)に収まっているものの、月2回実施している定期検査では、ほとんどの場合が不検出で、異常は明らかだったと言える。

 

同整備事務所は「放流水の調査は自主的に実施したもの。7日の時点では速報値であり、10日に確定したので不検出に変わった8日分と一緒に発表、市と県環境部局にも伝えた」と説明している。

 

こうした対応に市環境保護課は「もっと早く情報提供してもらいたかった。危機管理上も問題であり、改善を近く申し入れたい」と話している。

 

 

■関連工場確認へ

シアン化合物の検出を受け、同処理場では現在、4時間おきに放流口での簡易水質検査を実施。市も目視による現場巡視を当分の間続ける予定だ。

 

また、放流口近くには親水施設があり、周知の必要性についても検討するという。近くの住民は「野菜に排水路の水をやっているが、大丈夫だろうか」と困惑した様子。

 

関係者の間には、排水路の幅が比較的狭く、冬場の渇水期による水量減少が希釈効果を低下させ、環境基準を達成しない状態が一時的に出現したとの見方も出ている。

 

 

今後の焦点は発生源の特定に移る。市は関連流域に排出する工場のうち、シアン化合物を扱っている事業者をリストアップ、排出基準の順守を確認する。

 

同処理場でも、汚水処理の過程でシアン化合物が発生する可能性はないか、あらためて検証するという。

 

現方式では、流入時点でシアン化合物が混入していれば、完全に除去することは難しい。処分場を経由した場合、流入元は市外にも広がり、発生源の追跡はより困難になる。

 

http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1402150007/