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七十七銀行女川支店津波訴訟判決 仙台地裁が請求棄却 原告直ちに控訴(河北新報)

2014-02-25 19:51:06

津波で犠牲になった行員らの遺影を抱いて仙台地裁に入る家族ら=25日午前9時30分ごろ、仙台市青葉区
津波で犠牲になった行員らの遺影を抱いて仙台地裁に入る家族ら=25日午前9時30分ごろ、仙台市青葉区
津波で犠牲になった行員らの遺影を抱いて仙台地裁に入る家族ら=25日午前9時30分ごろ、仙台市青葉区


東日本大震災の津波により、七十七銀行女川支店(宮城県女川町)の屋上で死亡・行方不明になった行員ら3人の家族が、同行に安全配慮義務違反があったとして、計約2億3000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、仙台地裁(斉木教朗裁判長)は25日、「屋上を越えるような巨大津波を予見することは困難だった」として家族側の請求を棄却した。家族側は同日、控訴した。
従業員が津波の犠牲となったケースで、企業の過失と責任を問う訴訟の判決は初めて。従業員側にとって厳しい判断が示された。
斉木裁判長は「企業は経済合理性の観点で活動している。行政機関に比べ、最悪の事態を常に想定して高い安全性を労働者に対して保障すべきだとまでは言えない」と指摘。銀行側が、近くにある堀切山(標高約16メートル)より低い屋上(高さ約10メートル)を避難場所にした事前の防災対策や、屋上を避難先に選んだことは合理的だったと判断した。
判決によると、女川町で震度6弱を記録した2011年3月11日の震災で、外出先から戻った支店長は行員らに支店屋上への避難を指示。派遣スタッフ1人は帰宅を許可され、同日午後3時5分ごろ、13人が屋上に避難した。同日午後3時半ごろ、全員が津波に流され、1人が救助されて12人が死亡・行方不明になった。
閉廷後、家族らは「非常に残念。職場の安全管理を一歩でも前進させるための訴訟だったが、判決ではむしろ後退してしまった」と話した。
銀行は「12人の行員・スタッフを失った悲しみに変わりはない。防災への取り組みや意識を一層高めたい」との談話を出した。
斉木裁判長は、私立日和幼稚園(石巻市、休園中)の送迎バス乗車中に津波で亡くなった園児の遺族が園側を訴えた訴訟も指揮した。昨年9月の判決で園側の過失を認めていた。

http://www.kahoku.co.jp/news/2014/02/20140225t13028.htm