HOME |江戸川・北小岩のスーパー堤防区画整理で 住宅強制解体に着手(東京) 今後、こうした国による強制的な私権制限行使が増えそうだ  |

江戸川・北小岩のスーパー堤防区画整理で 住宅強制解体に着手(東京) 今後、こうした国による強制的な私権制限行使が増えそうだ 

2014-07-03 16:24:25

強制解体の対象家屋前で工事開始を宣言する江戸川区の担当者ら=3日、東京都江戸川区北小岩で(小平哲章撮影)
強制解体の対象家屋前で工事開始を宣言する江戸川区の担当者ら=3日、東京都江戸川区北小岩で(小平哲章撮影)
強制解体の対象家屋前で工事開始を宣言する江戸川区の担当者ら=3日、東京都江戸川区北小岩で(小平哲章撮影)


大規模な洪水を防ぐ国の「スーパー堤防」建設と一体で東京都江戸川区が進める北小岩の土地区画整理事業で、区は三日午前、建設予定地に残る家屋を強制的に取り壊す手続きに踏み切った。

今回の対象は区域内に残る七棟のうち、空き家の一棟。移転契約済みの一棟を除き、区は残る五棟も順次強制解体する方針だ。スーパー堤防整備に絡む区画整理での強制解体は全国初。「この地区で洪水の恐れはなく、スーパー堤防は無駄遣い」と立ち退きを拒む住民側は反発を強めている。 (奥野斐)

 


 区は三日午前九時前から、家屋に立ち入り、家財道具を区内の倉庫に運び出すための梱包作業を実施。家屋の解体は五日から始め、十七日に完了する。

 




 国が進めるスーパー堤防事業は二〇一〇年に民主党政権の事業仕分けで廃止となったが、江戸川区は単独事業として一一年に区画整理事業計画を決定。スーパー堤防事業は東日本大震災を受けて復活し、国と区が昨年五月、堤防建設と区画整理事業を共同で進める基本協定を締結した。

 




 対象区域は、江戸川とJR総武線、国道14号に囲まれた住宅地約一・四ヘクタール。区の計画では、住民にいったん立ち退いてもらい、国が最大五メートル分の盛り土をし、幅約百五十メートルの堤防を建設。その上に区が道路や約七十軒分の宅地を造成し、一六年五月に住民に返還するとしている。区画整理の総事業費は約四十三億円。

 




 一一年五月の計画決定時、区域内には九十三棟あり約二百五十人が暮らしていたが、既にその大半が移転契約を結び、区内などに仮住まいをしている。盛り土工事は今年四月に始まる予定だった。強制解体は土地区画整理法に基づく「直接施行」と呼ばれる処分。都内での直接施行は過去二十五年で八件しかない。

 




 対象地区の住民らが一一年十一月、事業の取り消し訴訟を起こしたが、昨年十二月に東京地裁が請求を棄却。東京高裁で控訴審が行われている。

 




<スーパー堤防(高規格堤防)>

人口密集地の水害対策として1987年に始まった国の事業。国土交通省によると、陸地側に高さの約30倍の幅を持たせることで、200年に一度の洪水に備えるとしている。民主党政権は事業仕分けでいったん「廃止」としたが、東日本大震災後、計画対象となる河川を計873キロから計120キロに縮小し、続行することになった。江戸川では江戸川区側の右岸で約20キロ、千葉県市川市側の左岸で約14キロの建設が計画されている。

 

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014070302000253.html