HOME8.温暖化・気候変動 |23日の国連気候変動サミット 安倍首相は温室効果ガス削減目標の代わりに、途上国の災害対策支援をアピール。本質的な論議を避け、カネ目で対抗か(?)(各紙)  |

23日の国連気候変動サミット 安倍首相は温室効果ガス削減目標の代わりに、途上国の災害対策支援をアピール。本質的な論議を避け、カネ目で対抗か(?)(各紙) 

2014-09-20 22:52:59

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abeshushouimagesCAVRBS0S各紙の報道によると、安倍首相は、23日に米ニューヨークで開かれる国連の気候変動サミットにおいて、途上国への適応策支援強化を表明する方針という。温暖化対策の目標明示をできない国内事情から、目先を変えるつもりのようだ。

 

国連気候変動サミットは、2020年以降の温室効果ガス抑制対策のための国際取り決めを促進するため、潘基文国連事務総長が各国の首脳jを招へいして開く特別の国連会合となる。

 

国連気候変動サミットは、今年11月にペルーで開くCOP20、さらに来年末にパリで開くCOP21の国際会議の前哨戦の位置づけだ。一連の国連の国際会議では、2020年以降、2030年あるいは35年を目標とした温室効果ガスの排出削減目標を、先進国だけでなく、途上国にも設定することが最大の課題となっている。

 

すでに中国は、来年第一四半期ににおいて、削減目標を公表する姿勢を明らかにしているほか、米欧も、国連サミットにおいて、早期目標設定の約束を打ち上げるとみられる。

 

これに対して、日本は先ごろ、原子力規制委員会が九州電力の川内原発の再稼働承認の方針を示したが、実際の再稼働は年内には見通しがつかないほか、他の原発についても今後、かなり時間を要することが確実なだけに、国全体の温室効果ガス削減目標を明確にはじけないという状況が続いている。

 

このため、政府は削減目標には十分に触れずに、気候変動によって引き起こされる途上国での災害対策等への国際貢献を打ち出すことで、各国との「貢献競争」に伍していこうという狙いのようだ。具体的には、気候変動分野の対策に携わる1万4千人の人材育成を約束するという。日本はすでに温暖化対策支援として途上国向けに約1兆7400億円の支援を決定しており、今回の災害対策での各途上国の対処能力向上支援を具体策の一つとして、安倍首相がサミットの席上でアピールすることを目指すという。

 

ただ、先の広島市内での土砂崩れ災害など、日本政府が決して、災害対策で優れているとは言えないことから、国際的なアピールになるのか、との疑問も出ている。

 

国連気候変動サミットは、2009年9月の開催時に、当時の鳩山由紀夫首相が、「2020年に温室効果ガスの25%削減(90年比)」を国際公約し、世界の注目を浴びた。その後、削減の主要な根拠となる原発が東電福島事故の結果、稼働停止となったことから、安倍首相は、「鳩山目標」を取り下げ、2005年比で3・8%削減(90年比で3.1%増)という目標を掲げ、国際的に見劣りする状況が続いている。

 

今回の防災目標は、各国が焦点としている温室効果ガス削減目標という本論でのコミットを避けるために設けたとの見方もできる。