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豊橋技科大などのバイオマス発電は「特許侵害」 神奈川県のメーカーが抗議。訴訟準備も(中日新聞) 

2014-10-22 17:51:29

toyohashigiken無題
toyohashigiken無題豊橋技術科学大(愛知県豊橋市)と愛知県が豊橋市内で実証研究し、下水道汚泥や生ごみを堆肥化して発電する「豊川バイオマスパーク構想」に、特許権を侵害されたと神奈川県のメーカーが訴えている。実証研究には国が5億円を超える補助金を出し、9月には、健全な水循環を生む先進的な取り組みとして国土交通大臣賞を受賞している。

 

抗議しているのは、処理装置メーカー「G-8インターナショナルトレーディング」の宮代知直会長(64)=神奈川県平塚市。技科大との書面や電話でのやりとりは主張が平行線をたどり、宮代会長は使用差し止め訴訟を検討するとしている。

 

実証研究では、豊川浄化センター(豊橋市)にある「水熱反応装置」に汚泥や食品残渣(ざんさ)を入れ、高温の180度、10気圧の状態で分解。その後、別の装置でメタンを発酵させる。メタン発酵の過程で発生するバイオガスを精製して発電に利用し、残渣は堆肥化する。ガス精製過程で発生する二酸化炭素(CO2)も海藻養殖に使うなど、資源循環型システムの実験をしている。

 

宮代会長は、このうち水熱反応装置が、自身の特許を侵害していると主張。会長は特定の高温、高圧状態で物質が分解されやすくなる「亜臨界水反応」を用いた廃棄物処理の特許を持ち、経営する会社で処理装置も開発。「装置はかくはん、脱水機能が酷似している。特許には設定温度や気圧の範囲、各工程も含まれ、それも酷似している」と訴える。

 

指摘された水熱反応装置は技科大が別の企業から購入したもの。宮代会長は、この企業にも特許侵害と抗議している一方、県と技科大に「使用権を得ずに補助金の支給を受けるのは、公金の不正使用だ」と主張している。

 

宮代会長によると、会長は海外でも5カ国で特許を取得。開発した処理装置は中国や台湾で実用化され、汚泥や食品残渣を1時間以内に5分の1の量に減らし、1週間ほどの発酵で良質な堆肥に変えるという。

 

環境工学が専門の松井三郎京都大名誉教授は「技科大の分解装置は、投入・反応・回収を連続してではなく、1回ずつ処理する『回文式』と呼ばれる反応器。構造は宮代氏が製品化した装置と似ている」と指摘する。

 

豊橋技科大側は「どういう行為が、具体的に宮代氏の特許のどの部分に抵触したのか、宮代氏からは説明がなく、判断できない」と困惑している。

 

http://www.chunichi.co.jp/s/article/2014102290085835.html