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風刺週刊紙「シャルリー・エブド」はなぜ標的になったか(WSJ) 無神教的で、キリストも風刺

2015-01-08 15:11:05

Frenchmediaキャプチャ
Frenchmediaキャプチャパリにあるフランスの風刺週刊紙「シャルリー・エブド」の編集部が7日、武装した男らに襲われ、少なくとも12人が死亡、7人が負傷した。同紙は、フランスの痛烈な風刺という伝統の一翼を担う存在で創刊以来、常に論争の源になっている。ここで同紙とその歴史について簡単に紹介しよう。

 Q: シャルリー・エブドとは何か

 A: シャルリー・エブドは風刺週刊紙で毎週水曜日に発行。創刊は1969年だが、1981年から1992まで休刊していた。そのイラストと挑発的なイメージで知られる同紙は、政治家、宗教から軍隊に至るまであらゆる権力を風刺することを目的としており、そのイデオロギーの根は左翼的で無神論的だ。このため、あらゆる形態の宗教が常に風刺の対象になっている。昨年の12月20日号では、聖母マリアがブタの顔をしたイエス・キリストを出産した様子を描いた風刺画を掲載した。

 

Q: シャルリー・エブドは何をしてイスラム教徒を怒らせたのかfrenchmediaBN-GH833_0107He_G_20150107114821

 A: 2006年、シャルリー・エブドはその前年にデンマークの雑誌に掲載されたイスラム教預言者ムハンマドの風刺画を転載した。翌年、同紙は「愚か者に愛されるのもつらい」と言いながらムハンマドが泣いている様子を描いた風刺画を掲載した。

多くのイスラム教徒はムハンマドの視覚的描写を挑発的だとみており、冒瀆(ぼうとく)的とさえ考える人もいる。当時、パリにあるイスラム寺院のグランド・モスケ・ド・パリやフランスの「イスラム組織連合」といった宗教団体が名誉毀損(きそん)で同紙を訴えたが、フランスの裁判所は訴えを退けた。

 

Q: 過去にどのような被害を遭っているか

 A: シャルリー・エブドのオフィスは11年11月に火炎瓶で放火された。ムハンマドが「笑い死にしなければ、むち打ち100回の刑だ」と言っている風刺画を掲載したためだった。これを受け、同紙はパリ11区にある現在の場所へのオフィス移転を強いられた。編集スタッフもしばしば脅迫を受けている。

例えば同紙の編集長を務めるステファン・シャルボニエ氏(読者にはイラストのペンネームである「Charb」の方が知られている)には個人的なボディガードが付いていた。12年には、シャルボニエ氏の首の切断をジハディスト(イスラム聖戦主義)サイトで呼び掛けたフランス人の男が逮捕されている。シャルボニエ氏は7日に殺害された一人だ。

 

 Q: 同紙は最近何を掲載して今回の襲撃につながったとみられるのか

 A: それは不明だ。だが、同紙はこれまでイスラム過激派への批判を弱めていなかった。シャルボニエ氏は前号で不吉な風刺画を描いていた。それは「フランスではいまだに襲撃が全くない」という見出しの下で、1人のジハディスト戦士が自動小銃「AK-47」を携え、「慌てるな!新年のあいさつだったら1月末まで余裕があるぞ」と叫んでいる風刺画だった。

http://jp.wsj.com/news/articles/SB11685468879700404194004580386180553896628?mod=djem_Japandaily_t