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世界の畜産物、深刻な供給不足に=効率的資源利用が必須(Reuters)

2011-12-16 13:42:06

家畜市場で売りに出されているヒツジの群れ(11年11月5日、ヨルダン・アンマン)
家畜市場で売りに出されているヒツジの群れ(11年11月5日、ヨルダン・アンマン)


 【ミラノ14日ロイター時事】国連食糧農業機関(FAO)は14日、「世界の畜産2011」という報告書を公表し、世界の畜産農家は食肉と乳製品への増え続ける需要に応じるため、天然資源をより効率的に、しかも環境に優しい方法で活用すべきだと訴えた。

 報告によると、世界の食肉消費量は2050年までに現在の水準から73%、乳製品の需要は58%増えるとみられている。人口と発展途上国の収入が増えることが原因だ。

 FAO報告は「現在と同程度の天然資源を使って、家禽類の数を現在の2倍にし、小型反すう動物(ヒツジやヤギなど)を現在よりも80%、牛を50%、豚を40%多く飼育して需要急増に応えるというのは想定しにくい」と指摘。天然資源を食料に変えたり、廃棄物を減らしたりするといった畜産システムの効率化によってこれら家畜の生産を拡大すべきだと述べた。

 国連の推計によると、世界人口が現在の約70億人から2050年までに90億人に増えると予想されているため、シリアル(穀物類)の生産量を同年までに年間10億トン、家畜を2億トン増やさなければならない。

 FAO報告は、大規模で集約的な家畜の飼育場は、家畜頭数を増やす原動力になるだろうが、そこから出される廃棄物や温室効果ガスによる汚染を削減し、家畜のタンパク源となる穀物と水の使用を減らすとともに、飼育場などから出る副産物のリサイクルを行うべきだと述べた。

 また、こうした飼育場は、干ばつや水不足といった気候変動による困難に対応し、動物の疫病をも撃退できるようにすべきだと指摘した。

 家畜の生産量は東アジア、東南アジア、それに中南米で急速に増えているが、サハラ砂漠以南のアフリカの伸びは鈍いままだ。このため、サハラ砂漠以南のアフリカは十分な動物性タンパク質が供給されず、地域社会が貧しくて脆弱(ぜいじゃく)になっているという。

 同報告によれば、アフリカの人々の平均家畜タンパク質摂取量は、南北両米州、欧州、それにオセアニアの4分の1未満で、総タンパク質の推奨摂取量の17%を占めるに過ぎない。これとは対照的に、米州、欧州、それにオセアニアの人々の家畜タンパク質摂取量は、05年時点で総タンパク質摂取必要量の78~98%を占めており、家畜を過剰消費していることが示唆されている。

 また畜産品は、世界の総摂取カロリーの12.9%、先進国の総摂取カロリーの20.3%を提供している。一方、畜産品がタンパク質摂取量に占める比率は世界全体で27.9%、先進国で47.8%に及ぶ。

http://jp.reuters.com/article/jpnewEnv/idJPjiji2011121500275