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ヒ素除去材開発、汚染水浄化に期待(National Geographic)

2012-01-12 15:59:28

世界中で飲料水汚染を引き起こしているヒ素を簡単に除去できる材料が日本の独立行政法人、物質・材料研究機構元素戦略材料センターのシェリフ・エル・サフティ(Sherif El-Safty)主幹研究員によって開発された。新材料は高秩序メゾポーラス構造と呼ばれる多孔質材料の内壁に、ヒ素を捕獲する分子構造を持つ物質を敷き詰めている。安価で、水中に微量のヒ素があると速やかに吸着、除去する能力を持つ。吸着すると色が変わる特徴も持つなど、ヒ素の検出・除去が簡単に確認できる長所も持つ。

 地下水にヒ素が含まれているため、皮膚、神経、心臓・血管障害、さらには発がんの危険に脅かされている地域は、アジア、南米、アフリカの広い地域にわたっている。河川によってできた堆積物中にヒ素が含まれているため、この地層から井戸水を得ている発展途上国の人々がヒ素汚染から逃れられないわけだ。最も深刻なバングラデシュだけで3500万人、アジア全体では5000万人もの人々がこうしたヒ素汚染地域に住んでいるといわれる。

 シェリフ主幹研究員は、水が貴重品の中近東出身で長年、世界の飲料水を安全にする研究に取り組んできた。今回の技術は大量の水処理プラント、個人レベルのいずれにおいても簡単に利用でき、発展途上国などでヒ素の脅威を大幅に抑えられると物質・材料研究機構は話している。

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