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人口急増による資源不足で30億人貧困に=国連GSP警告(Reuters)

2012-02-01 15:21:04

フェンス越しに手を伸ばすホームレスの子どもたち(2006年9月27日、インド・シリグリ)
【ロンドン30日ロイター時事】国連の「地球の持続可能性に関するハイレベル・パネル(GSP)」は30日に出した報告書の中で、世界で急増する人口の需要を満たすのに十分な食糧、水、それにエネルギーを確保するための時間がなくなりつつあると指摘。その結果、30億人もの人々を貧困に追いやるのを回避できなくなると警告した。

フェンス越しに手を伸ばすホームレスの子どもたち(2006年9月27日、インド・シリグリ)




 世界人口が現在の約70億人から2040年までに90億人近くに増えるとみられるほか、中間消費者層が今後20年間で30億人増えるため、資源に対する需要は飛躍的に拡大すると予想されている。国連の予測によると、2030年まででも、現在よりさらに少なくとも50%の食糧、45%のエネルギー、30%の水が必要になる。環境の変化によって供給に新たな制限が出てくるにもかかわらず、だ。

 GSP報告は、世界がこれらの問題に対処できなかった場合、30億人もの人々が貧困に追いやられる恐れがあると指摘した。

 GSP報告は、持続可能な開発への取り組みは速さも深さも十分でなく、政治的な意思の欠如にも悩まされていると述べた。報告は「現在の地球の開発モデルは持続不可能だ。持続可能にするためには、世界経済の変革が必要だ」と指摘した。その上で「小さな細工では十分でない。現在の世界的な経済危機は大がかりな改革の機会をもたらしている」と述べた。

 絶対的貧困の中で生活する人が世界人口に占める割合は1990年の46%から27%に減り、世界経済の規模は92年以降75%拡大しているが、生活スタイルの改善や消費習慣の変化によって、天然資源にかかる圧力が大きくなっている。

 栄養不足の人の数は2000年よりも2000万人増えている。年間520万ヘクタールの森林が失われており、これはコスタリカの面積に匹敵する。全魚種資源の85%が乱獲されたり枯渇したりしている。二酸化炭素(CO2)の排出量は90年から2009年の間に38%増えた。これにより、海面上昇や異常気象のリスクが高まっている。

 GSPは、可能な限り早急に経済政策に盛り込むべき持続可能な開発のための勧告56件を提言し、「新しい政治経済」が必要だと述べた。

 

http://jp.reuters.com/article/jpnewEnv/idJPjiji2012013100334