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神奈川県・由比ガ浜の海岸に打ち上げられたシロナガスクジラ赤ちゃん。胃の中からプラスチック片検出。母乳しか飲まないはずなのに、浮遊する廃プラを誤飲したか(各紙)

2018-08-28 18:39:19

kujira1キャプチャ

 各紙の報道によると、今月5日、神奈川県鎌倉市由比ガ浜の海岸に打ち上げられたシロナガスクジラの赤ちゃんを専門家が調べた結果、胃の中からプラスチック片が見つかったことがわかった。専門家は「母乳しか飲んでいないクジラが誤って飲み込んでしまうほど、海にプラスチックが浮いていることが推測できる」と分析している。

 

 NHKが報道した。それによると、由比ヶ浜海岸の波打ち際に打ち上げられたシロナガスクジラの赤ちゃんは、体長10m52cm、生後3か月から半年ほどと見られるオス。すでに死んでいた。



 国立科学博物館などの専門家が赤ちゃんの体を詳しく調べた結果、胃の中から折り畳まれた状態で、3cm四方ほどの大きさのプラスチック片が見つかったという。解剖した専門家によると、このクジラは母乳しか飲んでいない時期だったと推定され、餌をとろうとして飲み込んだのではなく、泳いでいる間に誤って飲み込んだと見られる。



 胃の中から見つかったプラスチック片は、死因とは直接の関係はないと見られるものの、赤ちゃクジラが泳いでいる間に誤飲するほど、廃プラスチックが海洋に浮遊していることを示す事例といえる。



 国立科学博物館動物研究部の田島木綿子研究主幹によると、「年間100件くらい生物を調査をしているが、子どもの個体の胃からプラスチックが見つかることはあまりない。母乳しか飲んでいない赤ちゃんクジラの体内から見つかることは非常にショックで、それだけ海にプラスチックが浮かんでいると言える」と指摘している。

 海のプラスチックごみは、生物が誤って飲み込んでしまうなど深刻な影響が出ている。今年2月にはスペイン南東部の海岸に打ち上げられたマッコウクジラの胃と腸から、合わせて29kgのプラスチック製の袋やペットボトルなどが見つかっている。

 


 また、5月にはタイ南部の海岸に打ち上げられて死んだクジラの胃の中から、80枚余りのプラスチック製の袋が見つかった。現地の専門家はプラスチックを大量に飲み込んだため、必要な栄養を摂取できなくなり、衰弱して死んだのではないかと分析している。http://rief-jp.org/ct12/79838



 国連環境計画(UNEP)の報告書によると、世界では年間800万㌧に及ぶ廃プラスチックが海洋に流れ込んでいるという。こうした廃プラスチックの影響はグローバルな海洋に及んでおり、今後、影響はますます深刻化すると見られている。推計によると、2050年には99%の海鳥がプラスチックを食べてしまう経験をするなど、600種の海洋生物が被害を受けると予想している。


 このため各国政府も遅まきながら、対策に取り組むようになってきた。今年6月にカナダで開いたG7サミット(主要7カ国首脳会議)でも、海洋汚染の問題が取り上げられた。その結果、使用するプラスチック製品の具体的な削減量を盛り込んだ「海洋プラスチック憲章」を承認したが、日本と米国は憲章に署名しなかった。