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国連報告書。人間活動の影響で、今後、地球上の生物種100万種が絶滅危機に。哺乳類はすでに80%以上が絶滅、人類とその家畜に置き換わっている。人間は「すべての生物の『敵』」かも(各紙)

2019-04-25 12:39:30

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  各紙の報道によると、今月29日にパリで開く国連の科学者組織「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)」総会に提出される報告書が、人為的影響によって今後、最大100万種もの生物が絶滅の危機に直面する恐れがあると指摘していることがわかった。人類の行動が、自らの生存に不可欠な自然資源を損なうってきたのかが、詳細に列挙されている。

 

 (写真は、金の違法採掘場の跡地。有害物質の使用で生物が絶滅=ペルー)

 

 AFPが伝えた。同報告書は自然環境に関する科学文献を国連が調査してまとめた1800ページにわたる調査文献から要旨を抽出した44ページの「政策立案者向け概要」。IPBES総会で討議され、最終的には5月6日に公表される予定。

 

 それによると、種の減少ペースが「すでに過去1000万年間で、平均数十倍から数百倍も上昇している」と指摘、「(今後)50万~100万種が絶滅の危機にさらされ、その多くは数10年以内に危機的状況に置かれると予測される」としている。すでに多くの専門家らの間では、過去5億年で6回目の、いわゆる「大量絶滅事象」がすでに進行中と考えている。

 

 国連がまとめた科学者らの推計によると、地球上には現在約800万種の生物が生息しており、その大半が昆虫。このうち、現在分類されている全動植物種の4分の1が、人為的行動によって、生息地を追われたり、捕食や汚染を受けたりしてすでに絶滅に向かいつつある。

 

原生林を開墾する
ブラジル・アマゾンの熱帯雨林地帯の開墾

 

 その中でも、劇的な減少率になっているのが、野生哺乳類のバイオマス(生物量、生物体の総重量)。82%の減少となっている。哺乳類の全バイオマスの95%以上は人と家畜で占められている。つまり、人類が自分たちの生存のために、他の哺乳類を絶滅の危機に追いやっていることになる。

 

 報告書は、人的行動が引き起こす生物種減少の要因について重要度順に示している。生息環境の縮小や土地利用の変化、食物のための狩猟や生物部位の違法取引、気候変動、汚染、ネズミ、カ、ヘビなど外来種の海路や空路での侵入などとなっている。

 

 報告書をまとめたIPBESのロバート・ワトソン議長は、「人類が持つ食物やエネルギーを生産する方法は、自然が人類にもたらす調整(機能とその有益な)効果を弱体化させている」と指摘、自然資源の損害を食い止めることができるのは「革命的な変化」だけとしている。また、気候変動も自然損失に大きな影響を与えており、「生物多様性の損失と気候変動をもたらす大きな間接的要因は、世界人口の多さと、その消費能力の増大だ」と指摘した。

 

 報告書はまた、地表の75%、海洋環境の40%、内陸水路の50%はすでに人為によって「大幅に改変」されているとしている。自然資源の損失は、自然からの恩恵を踏まえて生活している途上国や、先住民の居住地、最貧国などに影響を及ぼす。これらの地域は気候変動に対しても脆弱性が高まっている。

 

 現在、地球上の20億人以上がエネルギーを木質燃料に依存しているほか、40億人が自然資源を薬として活用している。世界の食用作物の75%以上が動物による花粉媒介を必要としている。これらも自然資源の損失で大きな影響を受けることになる。人間が自らの行動で自然資源を損傷したツケが、人間自身に降りかかることになる。ただ、その被害の影響を受けるのが弱者に集中するという問題がある。

https://www.afpbb.com/articles/-/3222392?page=1