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古河電工、使い捨てプラスチックと古紙から、強化プラスチックを再生する技術開発。Tetra Pak社などと共同で。6月から製品として販売。グローバル市場での展開も視野に(RIEF)

2019-05-29 17:26:58

fukukawa2キャプチャ

 

 古河電工は、使い捨てプラスチックと古紙から、強化プラスチックを再生する技術を、紙容器世界最大手Tetra Pak社などと共同開発した。従来は焼却や埋め立て等で処理したり、放棄・放置につながっていた廃プラを有効活用できる可能性が高まるという。同社では、6月から本技術を使った自社製品を販売開始する。

 

 今回の技術開発に際しては、Tetra Pak社(スウェーデン)のほか、環境事業世界最大手Veolia(フランス)社と共同した。3社は、飲料用紙パックのリサイクル残渣であるポリアル(PolyAl)のリサイクルプロジェクトを進めてきた。ポリアルの主成分はポリエチレンだが、紙、アルミが含まれているため、これまでリサイクルが困難だった。

 

 3社の共同開発は、使い捨てプラスチックや古紙などを一緒に再生処理することで、強化プラスチックに転換する仕組みだ。古紙の主成分はセルロースで、本来、セルロースとプラスチックは混ざり合わない。しかし、同技術では、紙をセルロース繊維にまで解繊して、それをプラスチックに分散させることで、元のプラスチックの2倍の強度の再生プラスチックを製造できるという。

 

廃プラと古紙の回収・再生のプロセス
廃プラと古紙の回収・再生のプロセス

 

  古河電工によると、この技術を用いることで、強度が低いプラスチック材料(LDPE)のレジ袋から、高強度の荷物積載用パレットのプラスチック材料(PP)以上の強化プラスチック材料を生成することができるほか、プラスチックと紙の積層フィルムで作られている飲料用紙パックから、ガラス繊維強化プラスチック並みの材料も生成できる。再生した材料を射出成形や押出成形で多様な用途の新製品に蘇らせることができるという。

 

 同社は、今回開発した技術を活用したケーブル関連製品を6月に国内で販売するほか、6月18日にドイツで開催する「Plastics Recycling Technology」にそれらの技術を出展し、Tetra Pak社と共同で同技術をグローバル市場にアピールする予定。


 すでに3月から量産ラインを稼働させている。また同技術を自社製品として販売するだけでなく、技術を他の企業に提供し「世界に向けて発信して普及を図り、地球環境の改善に貢献したい」としている。

 

 共同開発したTetra Pak Sustainability VPのMario Abreu氏は「プラスチックゴミに対する効率的、かつ長期的な解決には、世界のリサイクルインフラの大幅な改善が必要。このためにはパートナーシップが必須。われわれと古河電工は3年にわたり共同開発を進めてきた。両社で協力して、持続可能で、使用済み飲料パックの価値を高めるリサイクル方法の確立を目指す」としている。

 

 Veolia Global Accounts and Marketing SVPのDavid Cox氏も「ポリアルはリサイクルが難しい廃プラ。これを一社で解決するのは困難。コラボレーションでしか新たなソリューションが生みだすことはできない」と述べている。

https://www.furukawa.co.jp/release/2019/fun_190528.html