インドネシアでも森林火災の広がりで、マレーシアやシンガポールなどの周辺国にも煙害広がる。火災の発生場所をめぐり論争も(各紙)
2019-09-12 14:09:47
ブラジル・アマゾンの森林火災に加えて、 インドネシアでも、森林伐採や焼畑等を原因とする大規模な森林火災が発生、濃い煙が近隣のマレーシアやシンガポール等に広がっている。火災はインドネシアのスマトラ島とカリマンタン島中心に発生、被害を受けたマレーシア等がインドネシアを批判しているが、インドネシア側はマレーシアのサラワク州でも同様に火災が発生していると批判を返し、両国で論争となっている。
各紙の報道によると、スマトラ島とカリマンタン島での森林火災は、これまで数週間にわたって燃え続け、すでに93万haが焼失した。インドネシアからの煙害を受けたマレーシアでは、サラワク州で400以上の学校が休校になるなど被害が広がっているとして、インドネシアに緊急対策をとるよう要請している。
これに対してインドネシアの環境相Siti Nurbaya Bakar氏は「インドネシアは火災鎮圧のためにシステマチックに対応している。マレーシアこそ、自らのサラワク州や、マレー半島等でも森林火災が起きていることを隠している。同国政府は、客観的に説明する必要がある」と反論している。
インドネシア側の反論に対して、マレーシアの環境・気候変動相は、ASEAN特別気象センター(ASMC)のデータで、インドネシアのカリマンタンで474ヶ所、スマトラで387ヶ所のホットスポット(火災現場)が確認され、マレーシア領では7ヶ所だけ、と再反論している。
インドネシアでの出火原因は農家の焼き畑だったと伝えられている。ブラジルのアマゾン地域で起きた火災も焼き畑が原因だった。インドネシアでは毎年のように、焼畑等で発生する大規模な火災による煙害が、近隣諸国に影響を及ぼしている。
マレーシア国家災害対策局は10日、インドネシアに隣接するボルネオ島のサラワク州の住民の健康防止のため、50万枚のマスクを配布した。同州では大気汚染指数(API)が急激に悪化し、10日には州内の学校409校が休校にした。
マレーシアは16の州を抱えるが、このうち11州で、過去24時間のAPIIが健康に悪いとされる101~200を記録した。最悪だったパハン州ロンピン地区では、極めて健康に悪いとされる232にまで上昇した。
シンガポールのAPIも10日、ピーク時で151に達し、健康に悪い状態が終日続いた。APIの水準は、11日の米ニューヨーク市で7、英ロンドンで24、大気汚染で悪名高い北京でさえも「良好」の50だったことから、マレーシア、シンガポールでの悪化のレベルがわかる。
マレーシアの首都クアラルンプールでも名所のペトロナスツインタワーが煙にかすむなど、街中が煙に包まれた。地元メディアによると、多くの住民がマスクを着け、外出を控えるなどの自衛策を講じているという。