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国際協力銀行(JBIC)、米小型原発(SMR)メーカーに約130億円出資。すでに出資しているIHIと日揮ホールディングスの活動支援の形で、SMRの海外展開目指す(RIEF)

2022-04-05 13:45:18

Sかぅpキャプチャ

 

 国際協力銀行(JBIC)は4日、米国の小型原子力発電(SMR)メーカー、ニュースケール・パワー(NuScale Power、 LLC)の発行済株式を約1億1000万㌦(約130億円)で取得したと発表した。同社にはすでに日本のIHIと日揮ホールディングスがSPCを設けて出資している。JBICもIHIらのSPCに出資する形とし、日本の官民が協調して米原発メーカーを支援し、SMRの開発を促進することになる。

 

 (写真は、JBICが資本参加した米ニュースケール社のSMRの完成予想図)

 

 JBICが取得したニュースケールの株は、同社の筆頭株主である米国法人フルア(Fluor Corporation)から取得した。JBICは昨年10月、日本企業の海外インフラビジネスへの展開を後押しすることを目的として、海外インフラ事業を支援する「特別業務」を開始しており、今回の出資は同規定を適用した。同業務は「国際協力銀行法施行令」改正により、①先進国向け輸出に対する輸出金融②先進国事業に対する投資金融、を「特別業務」として取り組むことが認められている。

 

 日本の官民3社による出資比率は合わせて8~9%となり、筆頭株主のフルアに次ぐ。ニュースケールは近く上場する計画で、上場資金や私募増資で小型モジュール炉(SMR)の開発を加速させるとしている。ニュースケールは2007年に設立された米国オレゴン州立大学発のスタートアップ企業。

 

 同社が開発中のSMRは、1基当たりの出力が7万7000kWで従来の大型炉の10分の1以下。初期投資額が少なくて済むため、電力会社が投資しやすいのが特徴。現在、アイダホ州で「Carbonn Free Power Project(CFPP)」として開発を進めている。すでにSMRとして初めて米国原子力規制委員会による設計認証の審査を2020年8月に完了しており、2029年の商業稼働に向けた研究開発が進んでいる。

 

 昨年、先行してスケールアップの株主となったIHIと日揮は、同社が開発するSMRの商業化プロセスに関与することを目指している。JBICの特別業務としての参加は、両社の取り組みを支援することに主眼を置いており、SMRの内外での普及を目指すものといえる。

 

 日本政府は、昨年10月の「第6次エネルギー基本計画」で、SMR技術の国際連携による研究開発及び実証に向けた取り組みを進めることをうたっている。JBICは「今回の出資は、日本政府の政策に基づき実施する。2021年4月に発表された日米首脳共同声明での『日米気候パートナーシップ』等でも、SMRを含む革新原子力が両国の協力分野の一つとして位置づけている」として、今回の出資は日米両国政府の相互協力に基づくと強調している。

 

https://www.jbic.go.jp/ja/information/press/press-2022/0404-016140.html

https://newsroom.nuscalepower.com/press-releases/news-details/2022/Fluor-held-NuScale-Equity-Purchased-by-Japanese-Partner/default.aspx