HOME13 原発 |東京の下水汚泥の放射能濃度 福島以外で全国で最も高い。国土交通省データで明らかに。これでも東京は放射能の影響を受けていないというのか?(FGW) |

東京の下水汚泥の放射能濃度 福島以外で全国で最も高い。国土交通省データで明らかに。これでも東京は放射能の影響を受けていないというのか?(FGW)

2013-09-18 16:09:15

荒川の河口に面した葛西水再処理センター
荒川の河口に面した葛西水再処理センター
荒川の河口に面した葛西水再処理センター


国土交通省がまとめた今年8月末までの全国都道府県の下水汚泥の放射能濃度測定結果によると、全国的に濃度は低下傾向にあるが、東京都は江戸川区の処理施設の汚泥から1kg当たり7800ベクレルのセシウム濃度を検出、福島県を除くと、全国で最も高い値となった。オリンピック招致演説で安倍首相は「(フクシマは)東京にはいかなる悪影響を及ぼしていない」とした国際公約と明らかに矛盾する。

 

本FGWは先に政府のモニタリング調査(7月、月間放射能物質降下量)では、福島、茨城に続いて全都道府県で3番目の高さを示していることを伝えた。今回の国土交通省の調査でも、明らかに東京が全国の都道府県の中で、福島に次いで汚染濃度が高いことが明らかになったことになる。

調査は、8月末までの全国の下水処理場での下水汚泥に含まれる放射能核種を分析した。その結果、福島県下の処理場では。福島市の堀河町終末処理場で1kg当たり3万8600ベクレル(乾燥汚泥:8月19日採取)の最も高い値を出した。第二位は東京都江戸川区の葛西水再生センターの7800ベクレル(焼却灰:4月 7 -8 日採取)だった。同センターでの直近の値は、4500ベクレル(8月11-12日)。同センターでは処理した水は荒川に流している。

下水汚泥の基準値は、8000ベクレル以下の場合は、居住地や農地以外に埋め立ててもいいことになっており、8000ベクレルが一応の基準。東京都の葛西水再生センターは、8000ベクレルをわずかに下回るので、「危険」というレベルではない。ただし、汚泥をセメントなどに再利用する基準は100ベクレルとされており、それを大きく上回り、「要注意」扱いというところだ。

下水汚泥に含まれるセシウム等の放射能濃度は、一昨年3月11日の福島原発事故後に、急上昇し、葛西水再生センターでは、2011年5月採取のサンプル(焼却灰)で5万5000ベクレルを検出したほか、今年1月2日時点で5800ベクレルまで下がっていた。

東京ではこのほか、江東区の東部スラッジプラントで4300ベクレル(4月8日採取)、足立区のみやぎ水再処理センター4200ベクレル(7月30日)、立川市の錦町下水処理場で3068ベクレル(6月25日採取)などの高濃度が測定されている。福島、東京以外で高濃度の放射能汚染下水汚泥が測定されたのは、千葉県我孫子市の手賀沼終末処理場で4200ベクレル(4月11日測定)。ただ、同処理場の数値はその後低下している。

全国の下水道汚泥のセシウム濃度は、11年~12年にかけて、8000ベクレルを大きく上回る地域が続出したが、いずれもその後、低下している。これに対して、東京の値は、低下の速度が遅く、測定日時によっては増加するなど、不規則な状況が続いている。事故当時に福島から飛散した放射能が雨水等を通じて徐々に下水道に流れているのか、あるいは今も福島から微量の放射能が大気を通して、飛んできているのか。科学的に解き明かしたデータはまだない。

 安倍首相は「(フクシマは)東京にはいかなる悪影響にしろ、これまで及ぼしたこともなく、今後とも、及ぼすことはありません」と述べた。だが、複数の政府の測定データが、東京が他の府県に比して高いレベルの放射能汚染を検出していることを証明しており、オリンピックまでに東京の“除染”が進むかどうかだ。

 

調査は同省下水道部がとりまとめた:参照 http://www.mlit.go.jp/common/001011689.pdf