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東電福島第一原発汚染水貯蔵タンク 建設時から密封性に課題 不適切使用の可能性も(世界の貯蔵タンク事故情報)

2013-09-25 21:46:47

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fukushimatank22Baidu IME_2013-9-23_13-21-15今回の東京電力が原子力規制委員会に報告した資料によると、底板フランジ部は止水構造のタイプによってType-1~Type-5まで5種類に分かれていることがわかった。この違いについて東京電力やメーカーである東京機材工業による解説はないが、建設当初からフランジ部のシール性に課題を持っていたことがうかがえる。 Type-1~Type-5はつぎのように変遷している。
  ・Type-1 水膨張性止水材(水膨張性ゴムパッキン) + フランジ上側にシーリング材

       (Type-1‘として一時、ポリエチレン樹脂系パッキンを使用)

  ・Type-2 水膨張性止水材 + フランジ上側にシーリング材 + モルタル充填(アスファルトシート)

  ・Type-3 同上 + 目地コーキング

  ・Type-4  同上 + 目地コーキング + 止水シート

  ・Type-5 水膨張性止水材 + フランジ上側にシーリング材 + ボルト部にシーリング材

        (水膨張性止水材はフランジ部に設けた溝に挿入)




 さらに、側板の止水構造もType-1~Type-5によって変更している。このように短期間に止水構造の変更を行っていることは、実績に基づいて改良したというよりアイデアのレベルを試したものと思われる。



所 感

■ 東京電力はまだ断定していないが、調査の結果は予想されたとおりの漏れ原因(底板の締結部からの漏れ)である。しかし、ここに至るまでに時間がかかり過ぎるというのが率直な感想である。漏れが確認されたのは8月19日で、今回の調査結果の発表が9月20日と1カ月を要している。タンク内の放射性物質除染や解体工事に時間を要する要因はあるにしても、長すぎる。



■ 東京電力は民間会社の一社であるが、通常の民間会社であれば、もっと早く進めただろう。何が違うかというと、調査方法に関する学術研究でもやるようなステップだったことである。2日間を要したカメラによる内部確認および7日間以上を要したバブリング試験などは漏れ原因にまったく結びつかなかった。



東京電力の考察でバブリング試験の失敗要因(水頭圧の有無によりタンクの変形状態が異なることに起因)は、貯蔵タンクの分野に携わっている人なら常識的なことであり、バブリング試験と聞いただけで、何も得られないことは予想できる。



 東京電力がまとめた「漏洩原因に対する要因分析」をみれば、解体後検査(一般でいう開放検査)を真っ先に行うという結論になるはずである。要因分析の「材料品質不良、施工不良、腐食・劣化」は解体しなければ、わからない項目である。




■ 今回の解体後検査において、底板フランジ部に施したシーリング材が膨らんでおり、機能していないことがわかった。締結の密封機能は、本来のパッキンに委ねるしかないのである。フランジ部の漏れ防止性能に疑問を持ち、補助の止水構造を追加したと思われるが、結局は気休めのアイデアに過ぎなかった。



また、肝心のパッキンにも飛び出しが見られ、「水膨張性止水材」の放射能汚染水に対する適性にも疑問が出てきた。しかし、本来、底板に締結部のある組立式円筒型タンクは、土木用の水貯留に限定すべきで、漏れの許されない放射能汚染水の貯留用としては不適なのである。