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福島の港に活気、復活へ一歩 相馬双葉漁協 試験操業再開 「安全な魚を提供」(福島民報) 風評の元凶は事故を起こした東電であり、安全を確保できない政府にある

2013-09-26 12:38:20

試験操業が再開され、タコなどが次々と水揚げされる松川浦漁港=25日午後2時ごろ
福島県の相馬双葉漁協は25日、東京電力福島第一原発の汚染水問題で中断していた本県沖の試験操業を1カ月半ぶりに再開した。初日は漁船21隻が相馬市の松川浦漁港にタコ、イカなど11魚種合わせて約5.2トンを水揚げした。放射性物質検査で安全性を確認し、市場に出荷する。

試験操業が再開され、タコなどが次々と水揚げされる松川浦漁港=25日午後2時ごろ
試験操業が再開され、タコなどが次々と水揚げされる松川浦漁港=25日午後2時ごろ


「海で働いてこそ漁師だ」。港は活気に包まれ、漁業者は本操業開始に向け前進したことに笑顔を見せた。汚染水問題の解決が見えない中での再開だが、関係者は安全な魚を提供する決意を新たにした。

■汚染水問題で1カ月半中断 「安全な魚を提供」
 25日午前1時半すぎ、出漁を待ちわびた漁業者が松川浦漁港近くの係留先に集まってきた。相馬双葉漁協の佐藤弘行組合長(57)が力強く、海の男たちに語り掛けた。「東電や国、世の中の人たちに、本格的な操業を目指す気持ちを示すため、試験操業をしていく」

 
 沖合底引き網漁の漁船が次々港を離れ、漁場に向かった。台風20号の影響でうねりが生じ厳しい環境下での操業となったが、宮城県境から南相馬沖付近までの海域で網を引いた。

 
 タコなどを水揚げした盛幸丸船長の松本浩一さん(58)は「消費者の信頼を得るため、われわれ漁業者にできることは安全な魚を提供し続けることだけだ。国、東電は一刻も早く原発事故を収束させてほしい」と言葉に力を込めた。宝恵丸船主の菊地昌博さん(59)は「消費者の反応が気になる。漁業者が頑張っている姿を見て応援してほしい」と訴えた。「汚染水問題が早く解決しないと売れ行きに影響する」と心配する声も聞かれた。

 
 相馬原釜魚市場買受人協同組合の佐藤喜成組合長(60)は「試験操業は本操業につながる唯一の道。何もしないままでは、地域経済を支えてきた相馬の水産業は衰退していくばかりだ」と相馬産を全力でPRする考えだ。
 この日漁獲されたのはミズダコ、マイカをはじめ、毛ガニ、キアンコウなどの対象魚種で、同日中に漁協の放射性物質サンプル検査が行われた。安全性が確認されれば、26日朝に仲買人に引き渡される。加工品は26日に処理し、27日に出荷する。県内をはじめ、仙台、築地方面で流通する見込みだ。

 
 本県沖の試験操業は8月9日、松川浦漁港で沖合たこかご漁が行われて以来、約1カ月半ぶりとなった。沖合底引き網漁は7、8月が休漁期となっており当初、9月上旬の開始を見込んでいたが、汚染水問題を受け延期されていた。
 相馬双葉漁協は県などの調査で漁獲対象魚種や海域の安全性が確認できたのを踏まえ、再開に踏み切った。

■いわき地区は3日に開始
 相馬双葉漁協といわき地区の2つの漁協は当初、26日に足並みをそろえて試験操業を始める予定だった。しかし、台風20号の影響で相馬双葉は1日前倒しして実施した。いわき市漁協、小名浜機船底曳網漁協は10月3日に始める予定。
 相馬双葉のシラス漁は10月第2週ごろに始まる見込みだ。


■試験操業検討委 立谷委員長に聞く 風評払拭国に強く要求
 試験操業を再開した相馬双葉漁協の立谷寛治試験操業検討委員長(61)は25日、福島民報社のインタビューに応じ、国に風評払拭(ふっしょく)に向けた対策を求めた。
 -汚染水問題で中断された試験操業が再び動きだした。

 
 「漁師が働く場所に戻ることができた。本操業の再開までには、試験操業を地道に続け実績を重ねることが重要だ。来年6月までの長丁場となるが、対象とする魚種の拡大を目指したい」

 
 -国には何を求めるか。
 「原子力政策を推進してきた責任が国にはある。(汚染水問題で)ようやく動きだしたが、もっと前面に出て事故収束をリードしてほしい。風評払拭は漁業者だけでは力が及ばない。国がしっかり対策を講じるべきだ」
 -いわき地区も沖合底引き漁で試験操業をスタートさせる。
 「非常にうれしい。福島沖の漁業再興に向けては、浜通り北部と南部が一体となって取り組みを進めることが大切になる」

http://www.minpo.jp/news/detail/2013092611134