HOME |東電福島第一原発 規制委未承認の基準で雨水排水強行へ 台風の雨対策に盛り込む(福島民報) |

東電福島第一原発 規制委未承認の基準で雨水排水強行へ 台風の雨対策に盛り込む(福島民報)

2013-10-03 10:31:30

1日にポンプの接続ミスで水があふれた雨水貯蔵タンク
1日にポンプの接続ミスで水があふれた雨水貯蔵タンク
1日にポンプの接続ミスで水があふれた雨水貯蔵タンク


東京電力は2日、福島第一原発の台風22、23号に伴う降雨対策を発表した。汚染水を保管する地上タンク群の周囲に設けた「せき」内の雨水をタンクに移送するが、満杯になった場合は原子力規制委員会が承認を見送った同社の暫定排水基準値に基づき、せきから第一原発敷地内に排水する可能性を示唆した。

排水時は県や地元漁協などに連絡するとしているが、未承認の基準を用いた対応を視野に入れた場当たり的な措置に、再び批判が集まりそうだ。

 
 東電によると、各地上タンク群のせきの貯水量の合計は約7590トン。せき内にたまった雨水を一時的に保管する雨水貯蔵タンクの容量(計約4千トン)を超えた場合は汚染水を貯蔵する地上タンクの空き容量(計約1万4220トン)を使用する。さらに容量を超えた際は、原子力規制委が承認を見送った東電の暫定排水基準値に基づき、せきの弁を開けるなどして敷地内に排水することを視野に入れている。排水された水は排水溝などから外洋(原発港湾外)に出る可能性が高いという。東電は「排水にはならないよう最大限努力する。台風22、23号による降雨で排水に至る可能性は現在のところ低い」としている。

 
 東電は9月30日に都内で開かれた原子力規制委の汚染水対策作業部会で「排水可能な安全な雨水」と判断する基準を提示。1リットル当たりの放射性物質濃度はセシウム134が20ベクレル以下(法定放出基準60ベクレル以下)、セシウム137が30ベクレル以下(同90ベクレル以下)、ストロンチウム90などベータ線を放つ放射性物質濃度が10ベクレル未満(ストロンチウム90の法定放出基準は30ベクレル以下)とした。しかし、原子力規制委は、委員から「測定の方法や公正さに関して説明が不十分」との指摘があり、暫定排水基準値の承認を見送った。

 
 東電は9月16日にも台風18号による大雨の際にせきから雨水があふれる恐れが高まったとして、せきの弁を開けて雨水約1130トンを排出した。排水に含まれていたベータ線を出す放射性物質の濃度は推定で約885万ベクレルに上った。東電は排水について、県などに事前に連絡し「理解してもらった」との認識を示したが、県の担当者は「理解も了承もしていない」と否定している。

 
 1日には作業員のミスで雨水貯蔵タンクから雨水約5トンがあふれ出る事態が発生。タンク内の雨水1リットル当たりの放射性物質濃度を測定したところ、セシウム134は8ベクレル、セシウム137は16ベクレルでいずれも暫定排水基準値を下回ったが、ベータ線を放つ放射性物質濃度は390ベクレルで暫定排水基準値を大幅に上回った。